国交回復40周年の日中、関係悪化長期化か-国内政治が影響

1984年に野田佳彦氏は青年団の一員 として中国を訪れたが、そのとき歓迎してくれた1人が将来を嘱望され ていた胡錦濤氏だった。2人は今、日中両国トップの政治家として、日 中が72年9月の国交回復以後40年間築いてきた関係を危うくしている尖 閣諸島をめぐって対立している。

日中関係の悪化は長引く可能性があり、3400億ドル(約26兆円)相 当に及ぶ2国間の貿易関係は打撃を受けている。中国国家主席となった 胡氏は10年に1度の指導部交代が始まる中国共産党大会を間近に控えて おり、首相に就いて1年を経た野田氏は早ければ年内に総選挙の洗礼を 受ける。

東シナ海の尖閣諸島をめぐる日本と中国、台湾の主張は平行線が続 いているが、日中台いずれもがその主張を後退されれば国内・域内から の政治的反発を招くリスクがある。中国各地で反日デモが広がった一 方、日本では野党第1党の自民党は中国に厳しい姿勢を示している安倍 晋三元首相を新総裁に選んだ。ただ同時に日中の指導者がこの対立を具 体的な衝突にエスカレートさせることを容認する公算は小さい。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のリチャード・サミュエル ズ教授(政治学)は、「この問題の大きな部分を占めるのが国内の政治 情勢だ。リーダーシップをめぐる不確実さの中で地域全体が揺れ、不測 の事態を招く可能性を生み出している。今は通過しなければならない時 期だ。衝突がないことを望んでいる」と述べた。同教授には「日本防衛 の大戦略-富国強兵からゴルディロックス・コンセンサスまで」などの 著書がある。

「リセット」

米ホノルルを拠点とする研究所パシフィック・フォーラムCSIS のディレクター、ブラッド・グロッサーマン氏は、「双方とも自己主張 とナショナリズムを切り離す必要があると理解すべきだ」と指摘。その 上で「極端なナショナリズム的な圧力を受けている限り、両国とも実際 に引き下がることはできない」と話した。サミュエルズ教授は「常に想 定外の事態となる危険性がある。日本が自衛隊ではなく海上保安庁によ る巡視を続けているのはそのためだ」と述べた。

立命館大学の宮家邦彦客員教授は日中関係を「リセット」する必要 があるとし、そのためにはプレーヤーを変えるべきだと主張。胡主席と 野田首相ではもはや良好な関係が築けないと述べた。さらに同教授は、 その土台づくりを始める必要があり、それには数カ月かかるかもしれな いとの見方を示した。

原題:Japan-China Politics Risk Prolonging Worst Tensions Since 2005(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE