【日本株週間展望】緩和陶酔一巡し続落、円・中国・業績と懸念山積

10月1週(1-5日)の日本株は 続落しそうだ。主要国の金融緩和連鎖に対する歓迎ムードが弱まる一 方、円高傾向、日中関係の緊張長期化が実体経済、企業業績に与える ダメージに警戒感が強まってきた。相場は今年度下期に入るが、早々 の新規投資資金の流入は見込みづらい。

東海東京調査センター専務の中井裕幸氏は、「欧米日3極協調緩和 で起こったユーフォリア(陶酔感)が続くかどうかだが、緩和の中身 を見れば、本気で行った米国に対し欧州、日本との間でかなり差があ る」と指摘。特に日本の不十分さは、為替が円高に戻ったことからも 顕著で、10月後半に始まる決算発表も下振れが予想される中、日本株 は「いったん調整の局面」とみている。

9月4週の日経平均株価は、前週比2.6%安の8870円16銭と2 週連続で下げた。10月1週は国内外で重要経済統計の発表が多く、下 期の投資戦略を固める上で判断材料になる。1日に日本銀行が企業短 期経済観測調査(短観)を公表、事前のエコノミスト予想では大企業・ 製造業の業況指数(DI)は中央値でマイナス4、非製造業はプラス 6と前回6月調査から各3ポイント、2ポイント悪化する見込み。製 造業の悪化は3期ぶり、非製造業は5期ぶりで、全産業の2012年度設 備投資計画も前年度比5%増と、前回の6.2%から減退しそうだ。

日本総研調査部研究員の塚田雄太氏によると、製造業はエコカー 補助金の予算払底を見込んだ自動車生産の減少で、「輸出機械だけでな く、素材など関連業種も悪化。さらに、海外景気の減速による輸出減 少により、電気機械など加工業種でも悪化した」ようだ。非製造業は、 「天候不順によって秋冬物商品が不振だった小売業、ガソリン価格上 昇によって収益が圧迫された運輸業で大きく悪化した」と分析する。

円高への不安

短観では主要企業の想定為替レートも注目点の1つで、6月調査 での12年度レートは1ドル=78円95銭。欧州の国債購入プログラム 「OMT」、米国の量的緩和第3弾(QE3)に追随、資産買い入れ等 基金の10兆円増額を日銀が決めた今月19日、一時79円22銭と約1 カ月ぶりの円安水準を付けた。しかし、その後は77円台へ逆戻りした。

バークレイズ証券チーフエコノミストの森田京平氏は、前回の想 定レートに沿った動きで、「為替が景況感を大きく下押しすることはな いと判断するものの、予断を許さない」としている。東海東京調査の 中井氏は、「米国は来年にかけ『財政の壁』があっても、大丈夫な仕組 みを作った。他方、欧州のOMT実施には条件があり、日銀に至って は小手先感が強い」と指摘。欧州の不透明感、米国の強烈な流動性供 給策の中で円高への警戒は拭えない言う。

中国向け収益に不透明感

中国情勢も引き続き警戒材料だ。同国経済統計の低調が続く上、 日本政府の尖閣諸島国有化表明に始まる日中緊張は、中国での大規模 反日デモは収束方向ながら、現地進出企業の一部では工場の操業停止、 生産調整が継続。日本貿易振興機構(JETRO)の調査では上海、 天津などで通関の遅延、検査率上昇の情報がある。

9月15日に湖南省のデモで3店舗が破壊、略奪被害に遭った滋賀 県本拠のスーパー、平和堂では据え置いた13年2月期の業績計画につ いて、被害額の算定が現状困難とし、今後の修正の可能性に言及する など先行き不透明感を残している。

ドイツ証券の調べによると、日本企業の全世界売上高と経常利益 に対する中国事業の寄与率は売上高で6.6%、経常利益で7.7%と、北 米や欧州とほぼ同等。チーフ・エコノミストの松岡幹裕氏は、「中国は 日本の最大の輸出市場で、中国経済の減速や円高は日本の輸出に負の 影響を与える」と強調。中国の利益寄与度が10%を上回る業種は輸送 用機器、繊維、卸売、汎用機械、食料品、金属製品、電機などという。

逃げ腰の海外勢

円高、日中リスクから日本株売買代金の約7割を占める海外投資 家の腰もなお引け気味だ。東京証券取引所のデータでは、海外勢は9 月3週に525億円売り越し、前の週まで2週連続で買い越していた流 れが早々に途切れた。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが毎月 行う世界のファンドマネジャー調査では、9月は前月に続き日本株が 最もアンダーウエートの地域だった。

円高、景気見通しの悪化などが背景にあり、特に同調査での景気 悪化予測は6カ月連続。チーフ投資ストラテジストのマイケル・ハー トネット氏は、「日本経済が今後1年間で強くなると回答したのは差し 引きで4%に過ぎず、この比率は09年初め以降で最も低い」と言い、 日本に投資の目が向きにくくなっている。

「日本株は割安だが、為替や海外景気を受けた足元の企業業績の モメンタムは良くない。大きな売買エネルギーがない中で、割安とい うだけで一気に水準訂正できない」と、三井住友トラスト・アセット マネジメントの三沢淳一株式運用部長は見ている。

みずほリサーチアンド&コンサルティングの調査では、企業業績 の上方、下方修正割合を指数化したリビジョン・インデックスは26 日時点でマイナス5.1%と、前週のプラス1.7から悪化した。

このほか、注視される投資材料は国内で4、5両日に日銀の金融 政策決定会合の開催、海外では1日に米国供給管理協会(ISM)の 製造業景況指数、4日に欧州中央銀行(ECB)理事会、5日に米雇 用統計の発表がある。9月の米雇用統計での非農業部門雇用者数は、 事前のエコノミスト予想で11万1000人増と、8月の9万6000人増よ りやや伸びる見通しだ。中国では9月30日から10月7日まで中秋節、 国慶節の祝日に入り、10月1週の中国株式市場は休場になる。

--取材協力:長谷川敏郎 Editors:Nobuyuki Akama、Shintaro Inkyo

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