ユーロ上昇、スペイン懸念が緩和-ドルは一時77円前半に下落

東京外国為替市場では、ユーロが上 昇。欧州ではスペインによる財政緊縮策の発表を受けて同国の国債利回 りが低下しており、安心感からユーロ買いが進みやすくなっている。

ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.2942ドルと、3営業日ぶりの 水準まで上昇。午後の取引にかけて1.29ドル台前半で底堅く推移し、午 後3時35分現在は1.2932ドル付近で取引されている。ユーロ・円相場は 1ユーロ=100円10銭まで下げた後、100円35銭まで値を戻し、同時刻現 在は100円23銭付近で推移している。

IGマーケッツ証券の為替担当アナリスト、石川順一氏は、スペイ ンの予算案提出によって、「一時的にスペインリスクが後退しつつあ る」と指摘。スペインの10年債利回りが6%を下回っており、欧米市場 にかけては引き続き、金利動向を見ていく必要があるとしている。

ドル・円相場は対ユーロでのドル売りが波及する格好となり、午後 に一時1ドル=77円44銭と、13日以来の水準までドル安・円高が進行。 午後3時35分現在は77円51銭付近で推移している。

スペインの格下げリスク警戒

スペインのラホイ政権は27日、発足から9カ月で5回目となる財政 緊縮パッケージを発表。内閣は2013年の財政赤字を国内総生産 (GDP)の4.5%とするため、宝くじの賞金に対する新税導入や各省 庁の支出削減を盛り込んだ13年予算案を承認した。27日の欧州債市場で は、スペインの10年債が反発。同利回りは6%台を下回った。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、これまで、スペ インの問題でユーロは売られてきたが、同国が財政緊縮策をまとめて、 支援要請に前向きな姿勢を示せば、「ユーロにとってはプラス」に受け 止められると指摘。その上で、1.29ドル台の戻り局面でユーロを売るの はやや難しくなっていると言い、欧州市場に入って、スペイン国債の利 回りがさらに下げるようだと、一段高の展開になる可能性があるとみて いる。

一方で、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは 先月30日、スペインの格付けについて、引き下げ方向での見直しが恐ら く9月いっぱいかかる見込みだとした上で、同国から追加の支援要請が あれば、ジャンク級(投機的格付け)に引き下げる公算が大きいとの見 通しを明らかにしていた。

また、欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、ドイツ連邦銀 行のバイトマン総裁は27日、提案されている銀行同盟の枠組みの中で既 存の不良債権を処理することはできないとの考えを示している。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、「スペイ ンが支援要請するという期待が高まると、目先の安心感でユーロが買わ れる」とし、来週以降も「スペインが加速度的に支援の方に向かうと思 わせるニュースがどんどん出てくれば、ある程度持続的にユーロが戻る ということはある」と予想。もっとも、決着がつくまではヘッドライン に振らされる神経質な展開が続く可能性が高く、ネガティブな話が出く れば、ユーロ売りやリスク回避の円買いが強まることもあり得るとみて いる。

--取材協力:小宮弘子  Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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