債券は上昇、景気懸念や株価反落で-長期金利は1カ月半ぶり低水準

債券相場は上昇。8月の鉱工業生産 指数が予想を下回る低下となり、景気懸念が強まったことを受けて、国 内株価が反落し、先物や中長期債などで買いが優勢となった。長期金利 は1カ月半ぶりの低水準を付けた。

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長 は、「日銀がいろいろと政策を打ち出していることや円高傾向などもあ り、先物や5年債には買いが優勢となっている。8月の鉱工業生産は極 めて弱い数字で、過去数カ月に生産は悪化している。景気後退も見えて きた感じ」と述べた。

東京先物市場で中心限月12月物は、前日比5銭高の144円15銭で始 まった後、いったん売りが優勢となり、1銭安の144円09銭まで下げ た。しかしその後は、徐々に買いが優勢となり、一時は11銭高の144 円21銭まで上昇した。結局、9銭高の144円19銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の325回債利回りは 横ばいの0.775%で始まった。午後2時前から徐々に水準を切り下げ、 1ベーシスポイント(bp)低い0.765%まで下げ、8月9日以来の低水準 を付けた。5年物の106回債利回りは1bp低い0.19%と、8月14日以来 の低水準を記録した。

一方、超長期債が軟調。20年物の140回債利回りは0.5bp高 い1.645%に上昇。30年物の37回債利回りは一時1bp高い1.895%と、3 営業日ぶりの高い水準を付けた。マスミューチュアル生命保険運用戦略 部の嶋村哲金利統括グループ長は、「30年債への売りは、昨日引け際 に20年債に売りが出たことの余波だろう」と指摘。JPモルガン・アセ ットの塚谷氏は、「30年債は最近買われていたことの反動で売りが出て いる」と話した。

鉱工業生産、予想比下振れ

経済産業省が午前に発表した鉱工業生産指数は前月比1.3%低下と なり、2カ月連続で低下した。ブルームバーグ調査の予想中央値は 同0.5%低下だった。先行きの生産動向を示す製造工業生産予測指数は 9月が前月比2.9%低下、10月は横ばいが見込まれている。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「外需の減 少傾向が続く中で、自動車販売が補助金終了前に失速を始めるなど政策 効果が薄れてきたことで、生産活動が軟化し始めたと考えられる。今後 も中国向け、欧州向けを中心に当面、輸出の軟化傾向は続く」と分析 し、目先、生産水準の一段の低下は不可避な情勢との見方を示した。

みずほ証券の三浦哲也チーフ債券ストラテジストは、「生産が弱い 数字となったことで、景気に強気になれない」と語った。

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