日本航空の株価が反落し、19日に上 場して以来の最安値となる水準まで下落した。領土をめぐる日中間の情 勢悪化の拡大懸念をきっかけに一部投資家が損失覚悟で売却しており、 上場に伴う大量消化の反動が出ているとの見方がある。

株価は取引開始直後、前日をわずかに上回る水準で取引されたもの の、マイナスに転じ、午後に入って一段と下落。一時同345円(9.3%) 安の3375円と、21日に付けた上場来安値の3630円を大幅に下回った。終 値は同8.7%安の3395円。東証1部売買額は首位。全日本空輸の終値は 同1.1%安の174円と小幅下落にとどまった。

独立系投資顧問会社バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、日航 株下落について「きっかけは、一連の日中の領土問題の摩擦の影響だ」 とした。その上で、全日空の株価は午前にあまり下がらずに、日航株が 反応している理由については、「証券会社がさまざまな営業努力で株式 公開を成功させるためにやや強引に投資家に押し込んだ部分もあるの で、日中間の悪材料に極めて敏感に反応して投げ売りが出ている」と述 べた。

さらに松野氏は、日航株上場の旗振り役を務めた大和証券のフォロ ーの弱さを指摘する。同氏は「このような大型案件の場合はやはり安定 株主を早急に紹介するなどの上場後のきめ細かいケアが行われるものだ が、その点がうまくいっていないようだ」と語った。同証券は、日航上 場の際にグローバルコーディネーターを務めた。

日中間の団体旅行は、尖閣諸島の国有化をめぐり中国各地で反日デ モが発生するなどで緊張が続いていることが影響してキャンセルが相次 いでいる。日航は24日までに1万5500席がキャンセルとなった。広報担 当者の南場太郎氏がブルームバーグ・ニュースの電話取材で明らかにし た。また全日空も広報担当者の手塚愛美氏によると、21日までに3 万7000席がキャンセルとなっている。

領土問題での日本への抗議は、台湾でも活発化し、同国の漁船や巡 視船計約48隻が25日午前、相次いで同諸島周辺の日本の領海に侵入。こ れに対し、海上保安庁の巡視船が放水して警告するなど緊迫化してい る。台湾漁船団は正午前に領海を退去した。

--取材協力:広川高史. Editors: 室谷哲毅, 上野英治郎

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