日銀は来月末追加緩和も、14年度物価1%未達なら-愛宕・前日銀課長

日本銀行の物価統計課長を務めた愛 宕伸康氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日銀が来月30 日の金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポー ト)で、2014年度の物価上昇率見通しが目標の1%に届かなければ、同 会合で追加緩和が行われる可能性があるとの見方を示した。

愛宕氏は同課長を経て、11年7月から日本経済研究センターの主任 研究員を務める。同氏は21日のインタビューで「展望リポートまでにネ ガティブな情報が追加的に出てこなければ、14年度1%という数字を視 野に入れているだろう」としながらも、「1%上昇というゴールを14年 度に達成するのは無理だとなった場合は、もう一度、追加緩和に踏み切 っても何ら不思議はない」と語った

日銀は展望リポートで14年度までの消費者物価指数(生鮮食品除く コアCPI)の見通しを示す。日銀は今月、追加緩和に踏み切ったばか りだが、世界経済減速の長期化により、コアCPIが同年度以降、遠か らず1%に達する可能性が高いという従来の見通しが揺らげば、目標達 成に向けて再度、追加緩和に踏み切る可能性があるとの見方だ。

日銀は「当面、CPI前年比1%」を目指し、それが見通せるまで 「強力に金融緩和を推進していく」と表明している。日銀の7月時点の コアCPI見通し(政策委員の中央値)は12年度がプラス0.2%、13年 度がプラス0.7%。愛宕氏は14年度の見通しについて「コアCPIはエ ネルギーを含んでいて振れやすいので、国際商品価格次第で一時的に 1%に達してもおかしくないないが、その中身が問題だ」と指摘する。

年後半は2期連続マイナス成長も

日銀は19日の会合で、資産買い入れ等基金を70兆円から80兆円に拡 大することを決定した。白川方明総裁は会見で、今回の追加緩和が「こ れまでの措置の累積的な効果と相まって、物価安定の下での持続的な成 長経路に復することを確実なものとする」と言明。コアCPIが「徐々 に緩やかな上昇に転じ、14年度以降、遠からず1%に達する可能性が高 い」という従来の物価見通しを堅持する姿勢を示した。

愛宕氏は「7-9月、10-12月は2期連続マイナス成長もあり得 る」と指摘。12年度の成長率も「どんな試算をしても2%は厳しい」と 語る。日本経済を左右する最大の鍵は中国経済だが、「仮に改善に転じ ても、反日ムードがどの程度、日本からの輸出に影響するか分からない ので、日本の輸出も回復するかどうかは慎重に見た方がよい」という。

同氏は13年度成長率はプラス1.3%を予想。前年度からの統計的な 上乗せ要因であるゲタが0.3ポイント、消費税引き上げ前の駆け込み需 要が0.7ポイントとみており、それらを差し引くと「実力は約0.3%。潜 在成長率をやや下回る水準で、需給ギャップはよくて横ばい」とみ る。14年度は駆け込みの反動が出るため、「住宅投資で税制面等の経過 措置をとらないと、マイナス成長になってもおかしくない」という。

日本はデフレのわなに陥っている

白川総裁は19日の会見で、今年度前半に緩やかな回復経路に復して いくというメーンシナリオを「下方修正した」とし、回復の時期は「半 年程度後ずれする」と述べた。日銀が7月会合で示した成長率見通し (政策委員の中央値)は、12年度がプラス2.2%、13年度がプラス1.7% だった。

愛宕氏は「シナリオが下振れるということが足元のデータで分かっ た段階で政策を発動するのは至極まっとうだ」と評価する一方で、「日 銀が国債を80兆円買っても、企業はたぶん値上げしないだろう」とい う。その理由は、米セントルイス連銀のブラード総裁が2010年の論文で 示したように、日本経済が「デフレのわな」に陥っているとみるため だ。

愛宕氏は「いろいろな業種の人と話すと、やはり値上げなどできな いという人が圧倒的に多い。皆が価格を据え置きに決めると、物価指数 は品質調整で0.2-0.3%程度は必ず下がる」と指摘。さらに、「原材料 価格の上昇や、品質を向上させるためのコストを人件費の圧縮で補うこ とになり、そうすると消費が盛り上がらず、ますます値上げができない という悪循環に陥っている」という。

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