山口日銀副総裁:不確実性大きく、今後も「果断かつ柔軟に対応」

日本銀行の山口広秀副総裁は24日午 後、都内で講演し、「世界経済をめぐる不確実性は非常に大きい」とし た上で、先行きの金融政策運営はこれまでと同様、「必要と判断される 場合には、果断かつ柔軟に対応していく」と述べた。日銀は19日の金融 政策決定会合で追加緩和に踏み切ったばかり。

山口副総裁は「引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国 際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保 に万全を期す」と述べるとともに、「政策目的の達成に不十分と判断さ れれば、金融緩和を強化する」と語った。

日銀の長期国債の保有額については「昨年末には66兆円だったが、 現在は84兆円に達しており、今年末には92兆円まで拡大する見込みだ」 と指摘。「今年1年で26兆円増加することになり、今年度の特例国債の 発行額が38兆円であることを考えても、日銀による国債買い入れは既に 相当な規模に達している」と述べた。

山口副総裁は講演後の質疑応答で、「金融政策を用いて直接、為替 相場に影響を与えることは一切考えていない」と述べる一方で、「為替 相場は一切お構いなしというわけではない」と言明。「為替を通じて経 済、物価への影響が当然出てくるので、その影響を見定め、必要がある とみれば、対応を行っていく」と語った。

景気持ち上げる力期待しにくい-内需

欧州経済については「各種の政策対応により金融危機が発生するリ スクが後退した一方で、コア国への波及など実体経済の低迷が長く続く リスクは引き続き大きい」と指摘。米国経済は「先行き、緩和的な金融 環境にも支えられ、回復を続ける見込みだが、当面の回復ペースは緩や かなものにとどまる」と述べた。中国経済については「減速は予想以上 に長引いており、景気が減速した状態から抜け出す時期が後ずれするこ とは確実だ」と述べた。

国内経済については「全体として、内需は底堅さを維持するとみら れるが、外需の不振を補って、さらに景気を持ち上げるほどの力は期待 しにくいように思う」と指摘。「世界経済をめぐる不確実性が引き続き 大きいほか、金融・為替市場動向が景気・物価に及ぼす影響には、注意 が必要だ」と語った。

19日に追加緩和に踏み切った背景については「ここにきて多くの 国・地域で製造業を中心に減速の度合いが強まり、それがわが国の輸出 や鉱工業生産に明確に波及してきたことが確認された」と指摘。「この 間の世界経済の下振れは、企業マインド指標の悪化にも表れているとお り、私どもを含め大方の想定を超えるものであった」と述べた。

リスク性資産の購入も考えたが

山口副総裁はその上で、資産買い入れ等基金の短期国債と長期国債 の買い入れをそれぞれ5兆円増額させた理由について「増額の対象につ いてはリスク性資産も考えたが、現在わが国では、投資家の不安心理や リスク回避姿勢からリスクプレミアムが拡大するような状況にはないた め、短期国債および長期国債とした」と説明した。

金融政策の効果については、長短の国債の追加的な購入、さらに長 期国債買い入れの入札下限金利の撤廃が「市場金利を低下させる方向に 作用する」と言明。2010年10月の基金の導入以降、「長めの市場金利は 着実に低下してきている」と述べた。

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