日産自株、円高や中国問題にはお手上げ-年初来の上昇分を失う

株価が年初に急上昇していた日本 の3大自動車メーカーのうち、日産自動車が年初来の上昇分を最初に 失った。円高が収益の制約要因となるほか、欧州債務問題や日中関係 の悪化で世界販売に懸念が出てきたことなどが背景にある。

年初来の変動率は24日終値で、日産自が1.5%の下落となった。 トヨタ自動車やホンダの株価も年初からの上昇分は大幅に押し戻され、 上昇率はそれぞれ年初来で23%、8.7%にとどまっている。1-3月 の上昇率は、トヨタ39%、ホンダ34%、日産自27%で、ブルームバ ーグデータによると、自動車大手3社株は平均で33%上昇し、1981 年4-6月の64%以来の上昇率となっていた。

中国では尖閣諸島領有権問題を発端に反日デモが各地で発生し、 日本製品不買の動きも出ている。日本の自動車会社では、日産自の中 国販売が最も多い。ゴールドマン・サックスでは、日産自で中国事業 の利益貢献度が約3割になると指摘。デモ参加者は9月半ば、一部の 日系販売店の放火や、日本車の破壊など反日行動を過激化した。日本 の自動車会社は現地工場の操業を一時的に停止するなどの対応を余儀 なくされた。

また、昨年の東日本大震災やタイ洪水の影響から立ち直ろうとし ていた自動車会社には、3月末からの円高が痛手となった。

独立系調査会社ティー・アイ・ダヴリュ(TIW)の高田悟アナ リストは、年初に上昇した日本の自動車株が4-6月に押し戻された 主因は円高だと分析している。さらに、中国問題への懸念もあり、日 産自株が先週から急落したと指摘した。

春また円高へ

中国問題が起こる以前、今年の外国為替市場では2月1日に1ド ル=76円超と円高水準だったが、日本銀行が追加緩和に踏み切ったこ となどもあり、3月半ばにかけて円安が進み、3月15日には一時、約 11カ月ぶりに84円台を回復した。その後は欧州債務問題の深刻化、 米国や中国など世界経済の減速懸念などを背景に、また円買い圧力が 強まった。

今期(13年3月期)為替前提は、1ドルに対し、トヨタとホンダ が80円、日産自は82円、また1ユーロに対し、トヨタが101円、他 の2社は105円。連結純利益の今期予想は、トヨタが前期比2.7倍の 7600億円、ホンダは同2.2倍の4700億円、日産自が同17%増の4000 億円となっている。

日産自のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は6月の株 主総会で、円高負担を少しでも低減するように、あらゆる手段をお願 いしたいと述べ、政府・当局への要望をあらためて表明した。また、 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は9月14日、日本経 済の実力からかけ離れた為替水準はコスト削減など努力の限界を大き く超えていると指摘し、政府当局に早急な対策を強く求めるコメント を発表した。

世界需要の伸び13年に減速

今後の自動車市場について、ムーディーズ・インベスターズ・サ ービスは17日付のリポートで、世界需要の伸びは13年に減速する見 通しと発表。欧州での需要低迷と中国での販売拡大減速の制約を受け るだろうとしている。

TIWの高田氏は、日産自の株価が短期的に中国での反日行動に 過剰反応しているかもしれないと指摘。不透明感があり、問題の解決 には時間がかかるかもしれないとの見方を示した。

--取材協力:浅井秀樹 Editors:Hideki Asai、Taniai Kenzo

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