米国債:週間ベースで今月初の上昇-追加緩和効果に疑問

米国債相場は連邦公開市場委員会 (FOMC)が追加緩和策を発表して以降の下げから、ほぼ戻した格 好。世界経済の減速で、当局が目指す失業率の低下が厳しくなるとの見 方が広がった。

10年債利回りは今週11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 低下し、FOMCによる追加緩和策発表の直前の水準となった。この日 の相場はもみ合う展開。欧州が債務危機の対応で前進しているとの観測 から、逃避先としての米国債の妙味が低下した。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオン (ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)として20億ドルの運用に 携わるクリストファー・サリバン氏は、「大量の売りが出たが、依然と して世界経済は減速し、欧州問題も続いているという現実に市場は再び 気づき、買い戻しの動きが出ている」と分析した。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)低下の1.75%。一時3bp上げる場面があった。前日 は1.72%と、13日以来の低水準を付ける場面があった。同年債(表面利 率1.625%、2022年8月償還)価格はこの日3/32上げて98 27/32。

10年債利回りはFOMCによる追加緩和発表の前日となる12日に は1.76%だった。発表後の14日には1.89%と4カ月ぶり高水準に上昇し た。

30年債利回りは今週15bp低下。この日は前日比ほぼ変わらず の2.94%。一時は4bp上げた。

移動平均

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファ ンドなどの大口投資家の間では9月18日までの1週間で、30年債先物の ポジションがネットロング(買い越し)からネットショート(売り越 し)に反転した。シカゴ商品取引所でショートポジションはロングポジ ションを72枚上回った。前週は2万88枚のネットロングだった。

30年債利回りはこの日、200日移動平均となる2.94%で推移。前日 は一時はこの水準を割り込む場面もあった。

今週発表された経済指標を見ると、ニューヨーク連銀管轄地区の9 月の製造業景況指数が09年4月以来の低水準に落ち込んだほか、中国と ユーロ圏の指標でも製造業の活動縮小が示された。また9月の米フィラ デルフィア連銀管轄区の製造業活動は5カ月連続で縮小した。こうした 中、米国債は週間ベースで今月初の上昇となった。

インフレ予想

10年債と同年物インフレ連動債(TIPS)との利回り格差(ブレ ークイーブンレート)は今週、過去1年で最大の縮小となった。 FOMCの追加緩和策が消費者物価の上昇につながるとの見方が後退し たことが背景にある。

ブレークイーブンレートは週間で15bp縮小し2.50ポイント。この 縮小幅は11年9月23日以来で最大となる。17日には2.73ポイントと、06 年5月以来で最大となった。

ボラティリティは5月以来の低水準付近となった。ボラティリティ の指標とされるメリル・オプション・ボラティリティ・エスティメート (MOVE)指数は59.6bpで終了。19日には57.5bpと少なくとも5 月7日以来の低水準を付けた。年初来の最高は6月15日に付けた95.4b p。過去10年間の平均は100.3bp。

原題:Treasuries Regain Most of Losses That Followed New Fed Stimulus(抜粋)

--取材協力:Emma Charlton.

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