【日本株週間展望】戻り一服、景気懸念や円高止まり-中国動向注視

9月第4週(24-28日)の日本株 相場は戻りが一服し、日経平均株価は8800円前後まで下落する可能性 がある。日米欧の金融緩和策が出そろい、当面の好材料が一巡する中、 世界景気の不透明感や為替水準の高止まりが重しとなりそうだ。

みずほ信託銀行の中野貴比呂シニアストラテジストは、「米国はマ クロ景気が良好だが、量的緩和第3弾(QE3)決定後にポジティブ なニュースフローは出にくく、米国株には調整リスクがある」と指摘。 日本経済に不透明感が漂う中で、米国株の上値が重くなれば、「日本株 がさらに上昇するのは難しい」と見ている。

第3週の日経平均株価は前の週に比べ0.5%安の9110円と、週間 ベースでは3週ぶりの下落。中国の景気減速や反日デモの影響を懸念 し、鉄鋼や非鉄金属、機械など中国関連業種が売られ、銀行や証券・ 商品先物取引、保険など金融株も軟調だった。

第4週に米国で発表される経済指標は、25日に7月のスタンダー ド・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数と9 月の消費者信頼感指数、26日に8月の新築住宅販売件数、27日に8月 の耐久財受注など。ブルームバーグの事前調査では、消費者信頼感指 数や新築住宅販売は改善、耐久財受注は悪化が見込まれている。

強弱入り交じる統計内容が予想される中、米S&P500 種株価指 数は2007年12月以来の高値圏にある。米連邦公開市場委員会(FO MC)が13日、長期証券の保有を拡大するQE3の実施を表明。緩和 効果で緩やかな景気回復が続く、との期待が株価を押し上げている。

BNPパリバインベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本 部長は、「米国の企業収益は過去最高に近いため、株価は妥当近辺」と する一方、「さらに上値を買うには、来期業績の加速シナリオなどが必 要」と話す。第3週に発表された新規失業保険申請件数が市場予想を 上回り、2週連続で38万件台となるなど米雇用回復の足取りは鈍い。

円安勢い早くも一服、中国動向も影

さらに、世界の景気指標も先行きを楽観できるまでには至ってい ない。中国の製造業活動は9月に11カ月連続の縮小となる見込みで、 日本でも8月の輸出額が減少、ユーロ圏の9月の経済活動は3年3カ 月ぶりの低水準に沈んだ。国際通貨基金(IMF)は10月9日に公表 予定の世界経済見通し(12 年3.5%成長、13年3.9%成長)について、 若干引き下げる方針を示した。

為替市場では、日本銀行の追加金融緩和策発表を受けた19日こそ 円安が進んだが、20日には1ドル=78円2銭と緩和発表前の円高水準 に逆戻り。追加の量的緩和策を講じても米景気の回復が順調に進まな いとの見方や、世界景気減速によるリスク回避の動きなどから、円安 が進みにくい状況にある。

中国の動向も日本株に影を落とし、同国経済の減速に加え、反日 デモなど日中間の政治的緊張は予断を許さない。26日には野田佳彦首 相が国連で演説する予定で、両国の対立が激化すれば、景気や企業業 績の下押し圧力になる恐れもありそうだ。

ゴールドマン・サックス証券のキャシー松井チーフ日本株ストラ テジストらが試算したところ、日本の最大の貿易相手国である中国と の関係悪化により、東証1部企業の12年度経常利益率に8-11ポイ ントのマイナス影響が及ぶ可能性がある。このため同証では、TOP IXが当面レンジ内で推移するとの見方を強めたという。

米国株の上値の重さや円の高止まり、中国リスクなどが懸念され るほか、日本独自の買い材料も不足している。BNPパリバ証券の河 野龍太郎チーフエコノミストは、10月1日に発表される日銀の企業短 期経済観測調査(短観)は製造業、非製造業とも業況が悪化するとし、 今回の短観は「日本経済が踊り場にあることを確認する結果になる」 と予想している。

75日線が下値めど

「日米欧の追加緩和の発表がそろった中で、国内では緩和の出尽 くし感が出始めている」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の 鮎貝正弘シニア投資ストラテジスト。株式市場は金融緩和を織り込ん できたが、実体経済は回復しないという状況にあり、「マクロの底入れ 感が欲しい」と言う。仮に、日経平均が投資家の短期採算ラインを示 す25日移動平均線(9000円)を割り込めば、75日線(8836円)まで の調整もあり得るとした。

上値は重いものの、75日線を下回るような極端な下落リスクも小 さそうだ。明治安田アセットマネジメントの福島毅執行役員は、「欧州 は思い切った措置を取ったことで、欧州問題は『終わりの始まり』の 状況になっている」と強調。米景気堅調が続き、財政・金融両面から 中国の10-12月期景気への期待も高まれば、「日経平均は9300-9500 円を目指してもおかしくない」と話している。

このほか第4週は、海外で27日に米4-6月国内総生産(GDP) 確定値、国内では26日に自民党総裁選挙の投開票、28日に8月の鉱 工業生産の発表などがある。3・9月決算企業の期末接近に伴い、機 関投資家の積極的な売買も手控えられそうだ。

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