野田首相:民主代表に再選、外交は挑発せず挑発に乗らず

野田佳彦首相は21日午後、都内のホ テルで開催された民主党の臨時党大会で代表に再選された。衆院解散時 期をめぐる野党側との駆け引きが続く中、デフレ脱却に向けた経済財政 運営、尖閣諸島をめぐり緊張が高まる日中関係への対応など山積してい る課題に取り組む。

首相は臨時党大会での演説で、外交政策について「大事なことは毅 然として言うべきことは言う。一方で挑発せず、挑発に乗らず、大局観 を持ってクールに外交を展開する。この基本姿勢の下でことに当たって いきたい」との方針を示した。首相は来週にはニューヨークで開かれる 国連総会に出席、尖閣問題を受け「法の支配」をテーマに演説し、日本 の立場を世界に発信する。

代表選には首相に加え、原口一博元総務相、赤松広隆元農水相、鹿 野道彦前農水相の4人が立候補した。野田首相は、国会議員や党員・サ ポーターなどに割り振られた票の合計1231ポイントのうち818ポイント を獲得した。原口、赤松、鹿野の各氏はそれぞれ、154、123、113ポイ ントを得た。

上智大学の中野晃一教授は、野田首相の再選について、遅かれ早か れ有権者の審判を受けねばならないと指摘。首相は有権者に不人気なた め、自分が政権を続ける方が他党が政権を取るよりもいいと納得させる 必要がある、との見方も示した。

読売新聞が17日に公表した世論調査では、次期衆院比例選で投票す る政党としては、自民党が最多の31%で、橋下徹大阪市長が率いる新党 「日本維新の会」が16%となり、民主党は14%と第3位にとどまった。

幹事長人事

首相は代表再選後の臨時党大会でのあいさつで、24日からの訪米を 前に「これからの党運営の基礎となる党の執行部、少なくとも最低限の 重たい役職については事前に私の責任の下で選任したい」と表明し、了 承された。

党運営の要となる幹事長人事が最大の焦点となる。産経新聞は21 日、参院議員の輿石東幹事長を交代させ、岡田克也副総理を起用する案 が浮上していると報道。同日付の日経新聞朝刊は岡田氏のほか、前原誠 司政調会長、安住淳財務相の名前も挙がっていると報じている。

首相は党大会後の記者会見で、内閣改造についても「より機能強化 を図るという意味において交代はあり得る。閣僚、副大臣、政務官、適 材適所で選ぶということに尽きる」と指摘した。党役員人事や内閣改造 の規模などについては、21日にも輿石氏と「よく相談し、意見交換しな がら自分なりの考え方をまとめたい」と述べるにとどめた。

デフレ脱却

「切れ目ない経済対策を講じ、日本再生戦略を踏まえて、1日も早 くデフレから脱却して雇用をつくり出していくということが働く人の元 気の大前提になる」-。野田首相は臨時党大会で今後の経済財政運営に 関し、デフレからの脱却に最優先で当たる方針を強調した。

首相は代表選の公約に当たる文書「政見」に「1年以内のデフレ脱 却、2年以内の競争力回復」を目指し、「デフレ脱却・経済再生緊急プ ラン(仮称)」を策定・実行することを盛り込んだ。12日の日本記者ク ラブでの公開討論会では補正予算編成への意欲も示した。

ただ、与党は参院で過半数を下回っており、懸案となっている赤字 国債発行のための公債発行特例法案の成立や、補正予算など追加の経済 対策を速やかに実現するためには、26日に新総裁を選出する自民党の協 力も必要だ。

自民党総裁選立候補者の中では石原伸晃幹事長、安倍晋三元首相ら が無駄な予算の削減など今年度予算の「減額補正」に踏み切ることが、 公債特例法案に賛成する条件との考えを示しているのに対し、石破茂前 政調会長は「被災地が待っている」とより柔軟に対応すべきとの認識を 明らかにしている。

解散

野田首相が消費税増税法の成立に先立って、谷垣禎一総裁に「近い うちに国民に信を問う」と約束した衆院解散の時期をめぐっても、政権 奪還をうかがう自民党側との駆け引きが続きそうだ。

首相は19日のテレビ朝日の番組で、自民党が参院で消費増税に反対 する「国民の生活が第一」などが提出した首相問責決議に賛成したこと に「強い違和感を感じた」と指摘。26日の自民党総裁選終了後に「3党 合意をどうやって実現していくのか、その腹合わせをしたい。腹合わせ をした上で、これからのスケジュール感を考えていく」との認識を示し ている。

これに関連し、鹿野氏は19日の都内の街頭演説で福島の再生や尖閣 などの外交問題を挙げ、「まさしく政治が取り組んでいかなければなら ないこの時に、一時たりとも政治空白をつくってはならない」と早期解 散論をけん制した。

衆院の任期は来年8月まで。7月には参院の2007年当選組も任期を 迎えるため、首相が解散を先送りすれば、来夏に衆参のダブル選挙とな る可能性もある。

日中関係

外交では尖閣諸島の国有化をめぐり、緊張が高まった日中関係の改 善も急務だ。首相は19日の都内の街頭演説で、「国有化できることは国 有化する、こういう毅然たる姿勢でやっている。もちろん、このことに よって日中関係、大局に影響してはいけない」と強調した。

この後、出演したテレビ朝日の番組では中国に特使を派遣すること も検討していることを明らかにした。

首相の当面の外交日程としては来週の国連総会、11月の東アジアサ ミットが控えている。

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