洋ゴム社長:反日デモ、中国投資に影響も-タイヤ能力増は他国も

中国でタイヤなどを生産する東洋 ゴム工業の中倉健二社長は、尖閣諸島の領有権をめぐる反日デモで中 国事業のリスクが表面化し、今後の生産能力増強など新規投資の判断 に影響が「あるかもしれない」と述べた。

中倉氏は19日、大阪市の本社でのインタビューで、多くの日本企 業が中国で事業展開するリスクを再認識したのではないかと指摘。外 資系タイヤメーカーが現地で生産能力を増強するには制約もあり、今 後はマレーシアなど他国での生産に傾く可能性があることを明らかに した。

中倉氏によると、週末に反日行動が激化したのを受け、東洋ゴム ではバスやトラック用タイヤを生産する青島市の工場で18日の操業 をとりやめた。19日以降は正常稼働に戻っているという。工場設備や 事務所への直接的な被害はなかったが、販売店関係者が反日行動の参 加者から、東洋ゴムを含む日本製品を扱うことに対し抗議を受けるな どしており、現地で従業員の外出や出張の自粛などは継続している。

中倉氏によると、中国でのタイヤ生産能力が現状で年200万本あ る。中国政府が最近打ち出した方針では、海外タイヤメーカーが現地 で増産する場合、最低600万本の規模でないと承認されない制約があ るという。長期的には年産800万本も視野に入れているが、「顧客もで きていないのに、それだけ増やすのはリスキー」と指摘した。

マレーシアから輸出なら関税フリー

具体的には、東洋ゴムにとってアジア最大拠点のマレーシアなら 中国と自由貿易協定(FTA)を結んでいるため、そこから中国へ輸出 しても「関税フリーだ」と話した。それ以外でも生産を検討している 国は「たくさんある」と述べた。

東洋ゴムは「トランパス」ブランドなどで知られる国内4位のタ イヤメーカー。円高でここ数年、海外展開を強化している。青島工場 のほか、江蘇省張家港市で乗用車用などのタイヤ工場が稼働した。中 国はアジアでマレーシアに次ぐ生産拠点となり、15年までにアジア全 体の20%にあたる250万本の生産を目指している。

中倉社長は日本製品不買の動きについて、タイヤは一般的な自動 車部品と比べ小売店で販売される比率が大きく、ブランドが前面に出 る商品だけに「懸念されるところだ」と話した。情報収集に努めてい る段階で、反日行動が販売にどこまで影響するのかは「読めない」と 述べた。現時点では減産の計画はないという。

中国は09年に米国を抜き世界最大の自動車市場となり、自動車保 有台数も大きいだけに「撤退というわけにはいかない」と述べる一方、 「それなりのリスクも取らねばならない」という面もあると指摘。今 後の投資判断は状況をみて判断していきたいと話した。

東洋ゴムの株価の午前終値は、前日と変わらずの215円。年初来 では23%の上昇。同期間にトピックスは4%上げている。

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