債券は上昇、米債高や円高・株安で買い優勢-30年利回り4月来高水準

債券相場は上昇。前日の米債相場が 根強い景気減速懸念から続伸したことや国内債市場の良好な需給環境が 追い風となった。中国企業の景況感低迷などを背景とした円高・株安も 買い手掛かり。

東京先物市場で中心限月12月物は前日比10銭高の143円67銭で取引 開始。直後に8銭高の143円65銭まで伸び悩んだが、その後は買いが優 勢となった。午後にかけて上げ幅を広げ、引け前には24銭高の143円81 銭に上昇。23銭高い143円80銭で取引を終えた。

みずほ信託銀行債券運用部の吉野剛仁チーフファンドマネジャー は、日銀を含めた主要国で金融緩和・安定化策が出そろったが、実体経 済の減速に「目が向かいやすいタイミングだ」と指摘。リスク選好の動 きも一服していると語った。「リフレ的な政策対応により、30-40年ゾ ーンは買いづらい」としながらも、短い年限と比べた割安感が出やすい 面もあるとの見方を示した。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の325回債利回りは 前日より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.805%で始まり、午前9時過ぎ に1bp低い0.80%に低下。11時過ぎに0.805%を付けたが、午後は再 び0.80%。前日には日本銀行の追加緩和を受け、0.795%まで下げる場 面があった。5年物の106回債利回りは1bp低い0.205%。

20年物の140回債利回りは0.5bp低い1.69%で始まり、午後1時前後 に横ばいの1.695%を付ける場面があったが、3時前には1.5bp低 い1.68%まで低下した。30年物の37回債利回りは横ばいの1.945%で開 始。午後の開始後に0.5bp低い1.94%に低下し、直後に0.5bp高い1.95% と4月6日以来の高水準を付けた。いったん1.945%に戻したが、3時 前に再び1.94%に低下した。

さらなる追加緩和も

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテ ジストは、米国債続伸や日銀追加緩和で買いが優勢だと指摘。「日銀の 物価見通し達成は困難で、さらなる緩和期待が持続。きのうは追加緩和 に対する評価が定まらなかったが、あらためて金利低下圧力との見方が 広がっている」と説明した。

しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジス トは、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策第3弾 (QE3)でインフレ懸念や株高持続の観測がある半面、世界経済の減 速や日本国債の大量償還は需給環境を改善していると指摘する。

今週は既発債を対象とする流動性供給入札だけで、10年債など主要 な入札はない。加えて、20日には国債の大量償還を迎える。5年以上の 利付国債は3、6、9、12月に償還日が設定されるため、今月は償還額 が発行額を大幅に上回る。

19日の米国債相場は3日続伸。10年債利回りは前日比4bp低下 の1.77%程度と、FRBがQE3を発表して以降の下げをほぼ取り戻し た。追加緩和しても米景気回復は順調には進まないとの見方が広がっ た。

英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが20日 発表した9月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値は47.8と、 製造業活動の拡大・縮小の分かれ目となる50を前月に続いて下回った。

外国為替市場では午後にかけて円高が進行。対ドル相場は一時1ド ル=78円05銭と、前日の追加緩和後に付けた安値79円22銭から1円20銭 近く円高・ドル安に振れた。円高進行を受けて、日経平均株価の終値は 前日比145円23銭(1.6%)安の9086円98銭。1週間ぶりの安値となっ た。

--取材協力:池田祐美、Nobuyuki Akama. Editors: 山中 英典, 崎浜秀 磨

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