米国債:上げ消す-10年物インフレ連動債の入札で需要が後退

米国債相場は上げを消す展開。この 日の10年物インフレ連動債(TIPS)の入札で、投資家の需要が約3 年ぶりの低水準にとどまったことが手掛かりとなった。

10年物TIPS(発行額130億ドル)入札では、投資家の需要を測 る指標の応札倍率が2.36倍と2009年4月以来の低水準となった。プライ マリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の引き受け比率は48.5% と、1月の入札以来の高水準となり、過去10回の入札の平均も上回っ た。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニュー ヨーク在勤)は「TIPSはあまりにも速いピッチで上昇し過ぎたた め、買いを見送った投資家は多かった」と指摘。「結果として、プライ マリーディーラーが多くを引き受ける形となった」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前日比ほぼ横ばいの1.76%。同年債(表 面利率1.625%、2022年8月償還)価格は2/32上げて98 3/4。利回りは 入札前に一時5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下となっ た。

10年債と同年物TIPSとの利回り格差は14日に2.7289ポイント と、2006年5月以来で最大となった。この日は2.51ポイント。

TIPS入札

今年に入りこれまでに1兆5190億ドル相当の中長期国債の入札が実 施され、応札倍率は過去最高の3.16倍となっている。昨年は2兆1350億 ドル相当の入札が実施され、応札倍率は3.04倍だった。

10年物TIPS入札では、最高落札利回りがマイナス0.75%。入札 直前の市場予想はマイナス0.812%だった。落札利回りがマイナスとな るのは5回連続。

米国債は一時4日続伸していた。世界的に景気が減速しつつあると の観測から安全な米国債を求める動きが強まった。9月の米フィラデル フィア連銀管轄区の製造業は5カ月連続で縮小。このほか、中国とユー ロ圏の指標でも製造業の活動縮小が示された。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は13日、景気回復の動きが確実 になるまで政府支援機関の住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億 ドル購入する方針を表明。これを受け、インフレ期待が大きく高まって いた。

「行き過ぎ」

金融当局が政策決定の判断材料とする5年後から5年間(2017-22 年)のインフレ期待を反映するブレーク・イーブン・インフレ率(フォ ワードBEI)は14日に2.88%と、11年8月以来の高水準となった。8 月31日時点では2.43%だった。

キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャステ ィン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は「市場は若干インフレリスク にとらわれ過ぎた。まるで即座にインフレになるかのような雰囲気だっ た」と指摘。「先週の相場の動きは行き過ぎで、調整の時間が若干必要 だった」と続けた。

米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み) は、前週から3000件減少して38万2000件。ただ、ブルームバーグ・ニュ ースがまとめたエコノミスト予想の中央値37万5000件を上回った。米民 間調査機関コンファレンス・ボードが発表した8月の米景気先行指標総 合指数(LEI)は前月比0.1%低下した。

ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取引責任者、デビッ ド・コード氏(ニューヨーク在勤)は「世界の主要経済が減速しつつあ るとの見方が強まっている」と指摘。それが米国債買いを後押ししてい る」と続けた。

原題:Treasuries Erase Gains as Demand Drops at 10-Year TIPS Auction(抜粋)

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