日銀総裁:景気回復時期は半年ほど後ずれ-メインシナリオを下方修正

日本銀行の白川方明総裁は19日午後 の定例記者会見で、日本経済が今年度前半に緩やかな回復経路に復して いくという、日銀が示してきたメインシナリオを「下方修正した」と述 べた上で、緩やかな回復経路に復していく時期は「半年程度後ずれす る」との見通しを示した。

白川総裁は「これまで、景気の先行きについて、やや長い目で見れ ば、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱 していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと判断してきた」と 指摘。また、生鮮食品を除いたベースの消費者物価指数の前年比につい ても「徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度以降、遠からず1%に達す る可能性が高いと判断してきた」と述べた。

その上で「日本経済がこうした物価安定の下での持続的な成長経路 に復していく軌道を踏み外さないようするためには一段の金融緩和を行 うことが適当と判断した」と言明。同日決定した金融緩和の強化は「こ れまでの措置の累積的な効果と相まって、日本経済が物価安定の下での 持続的な成長経路に復することを確実なものとする」と語った。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で、長期国債と短期国債の購入 額を5兆円ずつ増額し、資産買い入れ等基金における資産購入を45兆円 から55兆円に拡大することを全員一致で決定した。日銀の追加緩和は4 月27日会合以来ほぼ5カ月ぶり。今回の追加緩和により、同基金の総額 は70兆円から80兆円に増加する。

他国見合いの機械的対応「取ってない」

米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が相次 いで追加緩和を行ったことについては「どの国の中央銀行も他国の中央 銀行がある政策を行ったから自分たちもやるという機械的な対応はもち ろん取っていない」としながらも、「経済そのものがグローバルに連関 している以上、各国・各地域の経済が同時に下振れし、結果的に同じよ うな時期に同じような対応を取ることは十分にあり得る」と述べた。

白川総裁はその上で「ECBとFRBの政策対応がそれぞれの地 域、国に好影響を与え、ひいては日本経済にも良い影響をもたらすと期 待している」と述べた。また、両中央銀行との比較で「日銀が金融政策 において大胆さや積極性において見劣りするとは思っていない」と言 明。「日本の金融環境は先進国の中でも最も緩和的だ」と語った。

日銀は同日の会合で、基金における長期国債の買い入れで応札額が 予定額を下回る札割れが発生していることを受けて、同買い入れの下限 金利(0.1%)を撤廃することを決定した。白川総裁はこうした措置が 市場金利に対し「相応の影響がある」と述べた。

また、銀行券見合いで基金とは別に月1.8兆円ペースで行っている 長期国債買い入れ(輪番オペ)についても「本日の決定との整合性を考 えると、入札下限金利は撤廃することになる」と言明。また、輪番オペ は基金における長期国債買い入れと異なり、買い入れ対象を残存期間3 年以内に限っていないため、「入札下限金利もすべての残存期間につい て撤廃することになる」と語った。

反日デモの影響を注視

尖閣諸島の国有化を受けて中国で反日デモが拡大していることの影 響については「中国経済の分析は、本日の決定会合においてもかなり大 きなテーマだった」と述べた上で、日本経済に与える影響は「なお不透 明な要素が多い」と指摘。「日中両国の経済は貿易や工場立地などの面 で結びつきが深いことを踏まえ、今後ともその経済面への影響を注意深 く見ていきたい」と述べた。また、「今日の政策決定に、最近における 反日デモが影響しているというわけではない」と語った。

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