日銀:追加緩和を決定、基金80兆円に拡大-長期国債は5兆円増

日本銀行は19日開いた金融政策決定 会合で、長期国債と短期国債の購入額を5兆円ずつ増額し、資産買い入 れ等基金における資産購入を45兆円から55兆円に拡大することを全員一 致で決定した。米連邦準備制度理事会(FRB)が追加緩和に踏み切っ たことにより円高圧力が強まるリスクや、世界経済の減速により国内景 気と物価の下振れ懸念が台頭しつつあることに対応した。

日銀の追加緩和は4月27日会合以来ほぼ5カ月ぶり。今回の追加緩 和により、資産買い入れ等基金の総額は70兆円から80兆円に増加する。 長期国債の買い入れは年内を24兆円、来年6月末までを29兆円に据え置 き、その後、来年12月末までに5兆円増額する。短期国債の買い入れは 年内は9.5兆円に据え置き、来年6月末までに5兆円増額する。

固定金利方式の共通担保オペは「25兆円」に据え置いた。日銀はま た、基金における長期国債の買い入れで応札額が予定額を下回る札割れ が発生していることを受けて、同買い入れの下限金利(0.1%)を撤廃 することも決定した。社債についても同様とする。

FRBは13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を 発表し、長期証券の保有を拡大する量的緩和第3弾(QE3)を実施す ると表明した。円ドル相場はFOMC終了後に一時1ドル=77円台半ば と7カ月ぶりの水準に上昇。その後、日銀の追加緩和観測や、尖閣諸島 問題による日中間の緊張の高まりを受けて、連休明けの東京市場では78 円台半ばで推移。今回の追加緩和を受けて、79円台前半に下落した。

情勢判断を下方修正

日銀は会合後に公表した声明文で、海外経済について「減速した状 態がやや強まっている」と指摘。その上で、足元の国内景気は「持ち直 しの動きが一服している」、先行きは「当面、景気は横ばい圏内の動き にとどまる」として、いずれも情勢判断を下方修正した。リスク要因に ついては「世界経済をめぐる不確実性は引き続き大きいほか、金融・為 替市場動向の景気・物価への影響には注意が必要」としている。

ブルームバーグ・ニュースが日銀ウオッチャー13人を対象に行った 調査では、FOMC前に今会合での追加緩和を予想したのは2人にとど まったが、FOMC後の追加調査で新たに2人が追加緩和を予想した。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは18日の顧客 向けリポートで「QE3決定後のドル円相場は、日銀による早期追加緩 和観測に地政学的リスクへの懸念が加わり、やや堅調に推移している が、今週の会合で日銀が追加緩和を見送れば、大きく円高に振れるリス クがある」と指摘していた。

緩和は「精神論」、サプライズ効果続かず

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは日銀の決定 について、米国のQE3と同じく、実体経済に確たる効果が直接及ぶよ うなものではないと指摘。多分に、中央銀行が金融緩和姿勢を堅持する ことが企業・家計の心理に働きかけてデフレ脱却や景気回復に資するだ ろうという「精神論」に立脚したものだけに、「2月と同様、サプライ ズ的な効果には持続性が伴わないとみておくべきだろう」としている。

10月は4、5日と30日の2回、金融政策決定会合が開かれる。30日 の会合では経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、2014年度 まで成長率、物価見通しを公表する。13年度までの見通しを示した前回 4月の展望リポートは消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前 年比について「見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後1% に遠からず達する可能性が高い」としていた。

バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジストは会合前、 「7月の鉱工業生産など下振れ指標が増加している。中国、米国の先行 指標軟化に沿った動きであり、弱い外需がその最大の要因だ」と指摘。 「13年、14年にかけて需給ギャップの縮小ペースが想定より鈍化してく ることになり、コアCPI前年比1%への距離が遠のくとの予想につな がる」とみていた。

白川方明総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は10 月11日に公表される。

金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。

 会合開催       総裁会見 金融経済月報  議事要旨
10月4、5日   10月5日     10月9日    11月2日
10月30日       10月30日        -      11月26日
11月19、20日   11月20日     11月21日    12月26日
12月19、20日   12月20日     12月21日   1月25日
1月21、22日  1月22日   1月23日  2月19日
2月13、14日  2月14日   2月15日  3月12日
3月6、7日  3月7日   3月8日   4月9日
4月3、4日  4月4日   4月5日   5月2日
4月26日    4月26日    -    5月27日
5月21、22日  5月22日   5月23日   6月14日
6月10、11日  6月11日   6月12日   未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情勢 の展望(展望リポート)は10月30日と4月26日。議事要旨は午前8時50 分。

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