円が主要通貨に対して全面安、日銀の追加緩和決定を受け

東京外国為替市場では円が主要通貨 に対して全面安となった。日本銀行が追加の金融緩和に動いたことを受 け、円を売る動きが活発化となり、対ドルで4週間ぶりの水準まで円安 が進んだ。

日銀の結果発表前に1ドル=78円70銭前後で推移していたドル・円 は一時79円22銭と8月22日以来の水準まで円安が進行。ユーロ・円も一 時1ユーロ=103円63銭前後まで円売りが進み、午前に付けた日中の円 高値102円48銭から1円以上も円安・ユーロ高となった。午後3時25分 現在はそれぞれ79円14銭、103円51銭前後となっている。

日銀は19日開いた金融政策決定会合で、長期国債と短期国債の購入 額を5兆円ずつ増額し、資産買い入れ等基金における資産購入を45兆円 から55兆円に拡大することを全員一致で決定した。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 「10兆円の増額とは、日銀はかなり強力な意思表示をしたと思う」と述 べた上で、「米国債も売られており、完全にリスクオン(選好)相場 だ」と指摘した。「日中関係の悪化が貿易収支に悪影響を与えるのは明 白なので、このままではネガティブな円安になる可能性もあったが、日 銀の緩和によりポジティブな円安になることを期待したい」と話した。

日銀が追加緩和

日銀の追加緩和は4月27日会合以来ほぼ5カ月ぶり。今回の追加緩 和により、資産買い入れ等基金の総額は70兆円から80兆円に増加する。 長期国債の買い入れは年内を24兆円、来年6月末までを29兆円に据え置 き、その後、来年12月末までに5兆円増額する。短期国債の買い入れは 年内は9.5兆円に据え置き、来年6月末までに5兆円増額する。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、日銀 の追加緩和について、「十分には織り込まれていなかったということと 6月末までの購入ペースが5兆円増えたという感じで、単に延びただけ ではないという意味でドル・円にとってはポジティブ、円にとってはネ ガティブではないか」と話した。

前日の海外市場では日銀が追加緩和を検討するとの一部報道を手掛 かりに対ドルでは78円88銭まで円売りが進行。この日の東京市場午前に は、日銀が追加緩和を見送った場合の円高リスクへの警戒もあり、78 円58銭まで 円高に戻していた。

世界的な金融緩和

安住淳財務相は、日銀の追加緩和について「大いに歓迎する。予想 以上に思い切った対応をしていただいた」と述べるとともに、「日本経 済の回復が厳しい局面に至った状況を的確に捉え、時宣を得た適切な措 置を講じた」と評価した。

19日の東京株式相場は上昇。欧米に続く日銀の追加緩和を好感し、 日経平均株価は5月以来の高値に急伸した。また、アジア株の上昇を背 景に米国債相場は反落(利回りは上昇)している。

FXプライムの上田眞理人専務取締役は、日銀会合の結果発表前、 「少なくともアメリカが思い切って緩和した後に日銀が何もやらないと なるとこれは一気に為替にくるので、何かやらざるを得ない。数字が大 きいものを出さないといけない」と指摘。「コストを考えると介入をや るよりは思い切って緩和をした方がいい」と話していた。

米連邦準備制度理事会(FRB)は先週の連邦公開市場委員会 (FOMC)で、雇用市場の見通しが大幅に改善するまで政府支援機関 の住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドル購入するQE3の導 入を発表。欧州中央銀行(ECB)も6日の会合で償還までの期間が1 -3年の国債を対象とした無制限の国債購入プログラムで合意した。

世界的な金融緩和で投資家のリスク許容度が改善する中、ドルも円 以外の主要通貨に対して下落。対ユーロでは1ユーロ=1.30ドル前半か ら一時1.3085ドルまで値を下げた。

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