債券先物は続落、円安・株高重し-追加緩和で長期金利一時0.8%割れ

債券先物相場は続落。日本銀行が追 加金融緩和を決めたことを好感して買いが増え、長期金利は一時0.8% 割れとなったが、その後は高値警戒感や円安・株高に振れたことが重し となり、売り優勢に転じた。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀が追加緩和を 実施したものの、米量的緩和第3弾(QE3)後の世界的な景況感の改 善もあって、債券を積極的には買いにくい地合いだと指摘。「追加緩和 決定後の円安・株高基調も債券には逆風。日米独の国債市場で安全資産 買いの動きが一服しており、QE3後に米国債が超長期主導で金利上昇 していることにも警戒感がある」と述べた。

東京先物市場で中心限月12月物は、前日比4銭安の143円61銭で始 まり、143円60銭まで下落した。直後から買いが優勢となり、プラスに 転じ、午後に入って、追加緩和発表後には一時25銭高の143円90銭まで 上昇した。しかし、その後は下げに転じ、結局は8銭安の143円57銭 と、この日の安値で引けた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の325回債利回 りは、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い0.81%で始まり、午後に 入ると一時2bp低い0.795%と、14日以来の0.8%割れとなった。その後 は徐々に低下幅を縮め、午後3時前後からは横ばいの0.815%で推移し ている。

RBS証券の井川雄亮債券ストラテジストは、「日銀の追加緩和決 定を受けて、長期金利は一時0.8%を割り込み、0.7%台まで買われた。 しかし、同水準では売り圧力が強く、相場の上値は限られた。資産買い 入れの期間を来年末までに延長し、時間軸を伸ばしたものの、利回り曲 線に与える影響は限定的な感じ」と述べた。

5年物の106回債利回りは一時1bp低い0.205%まで下げたが、その 後は横ばいの0.215%。20年物の140回債利回りも1.5bp低い1.685%まで 低下した後、横ばいの1.70%で取引されている。

基金買い入れを10兆円増額

日本銀行は19日開いた金融政策決定会合で、長期国債と短期国債の 購入額を5兆円ずつ増額し、資産買い入れ等基金における資産購入を45 兆円から55兆円に拡大することを全員一致で決定した。資産買い入れ等 基金の総額は70兆円から80兆円に増額する。また、基金における長期国 債の買い入れで応札額が予定額を下回る札割れが発生したことを受け て、買い入れの下限金利(0.1%)を撤廃することも決めた。

UBS証券の伊藤篤シニア債券ストラテジストは、「債券市場は日 銀追加緩和を織り込んでおらず、サプライズ(意外)で、買い材料にな る。金利は低下余地を模索し、長期金利は0.77%を試してもおかしくな い」と指摘。短期国債の買い入れ増額は円安・株高要因になるとも分析 した。一方、RBS証の井川氏は、「下限金利の撤廃は、短期市場で銘 柄によっては流動性の低下を招く可能性がある」と述べた。

18日の米債相場は続伸。景気刺激策を講じても米国の景気拡大は順 調にはいかないとの見方が広がった。米10年債利回りは前日比3bp低下 の1.81%程度。一方、米株市場ではS&P500種株価指数が続落。

国内株式市場で日経平均株価は反発。前日比108円44銭高の9232 円21銭で取引を終えた。為替市場では円が全面安となり、円は対ドルで 一時79円22銭と8月22日以来の円安・ドル高水準を付けた。

--取材協力:Nobuyuki Akama. Editors: 山中 英典, 青木 勝

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