日航社長:B787積極活用で国際線強化-業績予想は「保守的」

東京証券取引所1部に19日、再上場 した日本航空は、国際線を成長のためのエンジンと位置付けて強化する 方針だ。燃費効率の良い次世代中型旅客機「ボーイング787」(ドリ ームライナー)を積極的に国際線に投入し、高い収益性を維持して中期 経営計画の上振れを目指す方針だ。

日航の植木義晴社長が14日、ブルームバーグとのインタビューで語 った。同社長は、国内線で安定した利益を生み出す一方で、「今後の成 長分野は国際線」として「特に中長距離、プレミアム客にフォーカスし てB787を戦略的に使っていきたい」と述べた。2016年度には国際線 の事業規模は11年度比で25%伸ばしたいと説明した。

すでに現在5機のB787を保有しており、4月から新規路線の成 田-ボストン線に就航させた。破たん後初となる新路線開設に最新鋭の 機材を投入し、国際線の充実を図っている。12月に成田-サンディエ ゴ、来年3月に成田-ヘルシンキの新路線をそれぞれ開設、B787を 投入する予定。

日航はB787を計45機発注済み。16年度までの中期計画で33機導 入される予定。植木社長は、同機の新たな投入路線の候補地として、欧 米のほか「東南アジア、または日本からまだ直行便が出てない地域」を 挙げた。さらに同社が加盟する国際航空連合、ワンワールドの加盟航空 会社のハブ(中継点)空港となる路線への投入も考えているとした。

これにより乗り継ぎが便利になる場所の例として、ヘルシンキを挙 げた。フィンランド最大の航空会社フィンエアーは同じワンワールドの メンバーでヘルシンキ国際空港を拠点としている。東南アジアに位置す る国での同航空連合メンバーとしては、マレーシア航空がことし既に加 盟を表明しており、年末には運航を開始する計画。また、既存のB76 7と置き換える可能性もあるとした。

業績予想は保守的と強調

また植木社長は、業績の見通しについて「幅をもたせ、保守的に見 ている」という。営業利益は12年度で1500億円、13年度は1400億円をそ れぞれ見込んでいるが、植木社長は「非常に大きなリスク要素」を勘案 したうえで営業利益を算出しており、達成は十分可能だとした。

保守的にみている一例として為替を挙げた。航空会社では円高にな るほど費用は減少する。現在、市場の為替レートが1ドル=78円台に対 し同社は想定レートを85円としている。日航の1円動いた場合の感応度 は営業利益で25億円として7円の差を基に試算すれば175億円となる。

同社長はさらに「われわれは真の民間企業として再生を果たしてい ないという認識から、業績見通しは最低限のコミットメントだと見てお り、どんなことがあってもこれは守る。そのため社内ではプラスアルフ ァーを目指しているというのが実態」と語った。

国際線のリスク

一方で、国際線は国際情勢など様々な要因が複雑に絡み合うイベン トリスクが常に付きまとう。過去にも湾岸戦争や重症急性呼吸器症候群 (SARS)の流行など予想しにくいものが日航など航空会社を苦しめ た。植木社長は、国際線はやはり成長性もあり、収益性も好調時には膨 れ上がるが、同時にリスクもあるのは事実と認める。

植木社長は「昨年の東日本大震災こそ、そのリスクのひとつだっ た」とし、われわれが10年に経営破たんしたものの、結果的に「ちょう ど1年で経営リスクに耐えうるシステムによりわれわれは十分対応しき って、しっかりとした営業利益を上げることが出来た」と説明した。

配当で報いたい

再上場に際し、安定株主について同社長は「しっかりと確実な経営 をしていれば機関投資家にも長期保有していただける、ある意味で安定 株主といえる」として、安定株主づくりは「しっかりとした経営をして いくことから始まる」と述べ具体的な会社名などについては言及しなか った。

株主還元策については、「基本的には配当でしっかり継続的に行っ てゆくべきだ考えている」とし、「連結純利益の15%を配当に充て」る ことで「個人投資家の方に配当で報いていきたい」と強調した。同社 は10年の経営破たんの際、100%減資を実施し、約36万人の個人株主の 保有株式は無価値になった。

また植木社長は、格安航空会社(LCC)がことし注目を集め海外 から相次いで日本の空港に乗り入れていること、また日系3社のLCC が国内を中心に展開を始めたことなどから一部シェアを奪われるのでは ないかとの懸念については「価格で勝負しようとは思っていない。われ われとLCCの顧客層は違う」と言明する。

同社長は「フルサービスキャリアとして最高の商品とサービスを提 供することによって差別化はしっかりできる」と強調。同社は13日、ほ ぼ10年ぶりとなるファーストクラスからエコノミークラスまでの全4ク ラスのシート、食事、サービスを刷新すると発表。特にビジネスクラス では同社初となるフルフラットシートを採用した。同社は今後出遅れて いた商品面で国内外の同業他社と並んだことになる。

植木社長は「まずわれわれは会社更生法と企業再生支援機構からの 支援、この両方により再生への第一歩を踏み出すことができた。この2 つの支援がなければ、われわれは経営破たんし、分解をするしかなかっ た」と当時の厳しい環境を振り返えった。

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