ユーロが下落、スペイン懸念くすぶり売り圧力-1.31ドル割れ

東京外国為替市場では、欧州債務情 勢の先行き不透明感を背景にユーロが下落。スペインの財政問題をめぐ る懸念がくすぶる中、同国が金融支援の要請に消極的な姿勢を示してい ることから、ユーロ売り圧力がかかった。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.3172ドル と、5月4日以来のユーロ高値を付けたが、東京市場では1.31ドル台を 割り込み、午後には1.3081ドルまで一段安となった。海外市場で一時1 ユーロ=103円86銭と、5月9日以来の水準までユーロ高が進行したユ ーロ・円相場も、東京市場では一時102円78銭まで水準を切り下げた。

IGマーケッツ証券の為替担当アナリスト、石川順一氏は、「スペ インリスクが市場で意識され続ける中、域内のけん引役であるドイツの 景気動向までが一段と厳しい状況に陥っていることが確認されれば、ユ ーロ売り材料になってもおかしくない」と指摘している。

一方、ドル・円相場は海外市場で一時1ドル=78円93銭と、7日以 来の水準までドル高・円安が進行。この日の東京市場では、やや円買い 優勢となっており、一時は78円49銭まで円が値を戻した。午後3時45分 現在は78円64銭付近で取引されている。

スペイン懸念根強い

スペイン銀行(中央銀行)によると、家計と企業は7月にスペイン の銀行から260億ユーロの預金を引き揚げた。この結果、預金に対する 融資の割合は187%となり、前年同月の182%や昨年12月の183%から上 昇した。預金流出は銀行の融資余力を縮小させ、景気へのさらなる逆風 になる。

そうした中、この日の欧州時間には、ドイツの欧州経済研究センタ ー(ZEW)が9月の独景況感指数を発表する。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「ギリシャだけ ではなくスペインでも預金が逃げているということになると、将来的に はユーロ売り材料になる可能性がある」と指摘。また、「財政だけに注 目が集まっているが、その裏には景気悪化が明らかにある」とも言い、 ユーロは1.31ドル台後半で目先は天井を付けた感があるとし、一段と買 い上げるのは難しいと説明している。

日銀緩和期待

日本銀行は18、19日の日程で金融政策決定会合を開催。米連邦準備 制度理事会(FRB)は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加 の量的緩和を決定。欧州中央銀行(ECB)も今月の政策委員会で無制 限の国債購入プログラムに合意しており、米欧の金融緩和策に追随する 可能性が意識されやすい状況となっている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作シニア為替・債券 ストラテジストは、「米国が緩和した後で何も金融緩和を追加しない と、為替が円高に振れてしまうリスクもある」と指摘。資産買い入れ等 基金の5兆円程度の増額を見込んでいる。

一方、中国では、日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚 島)の国有化発表に抗議するデモが多くの都市で発生。デモ参加者は日 本製品の不買を訴え、店舗や車の破壊行為にも及んでいるが、18日には さらに激化する可能性が警戒されており、日中関係の悪化が貿易面の悪 影響につながる恐れも生じている。

植野氏は、中国との領土問題について、「東アジア、しかも日本が 絡む地政学的リスクの一種なので、普通に考えれば円安材料」だとして いる。

--取材協力:近藤雅岐 Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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