遺体安置所からの教訓得た日航、再上場で白紙から再生に離陸

日本航空の大西賢会長はいまでも御 巣鷹山に登るたびに胃にキリキリとした痛みを覚える。27年前、日航ジ ャンボ機の墜落現場となったこの山で、大西氏は仮設の遺体安置所づく りに携わった。

航空機エンジニアだった同氏は、2010年の経営破綻から約6630億円 規模の株式売却と再上場に至る日航の再建を支援してきた。520人の犠 牲者を出したあの墜落事故について大西氏は、日航にとって初期の転機 になったと記憶している。利用客離れが起き、政府の要求で国際線独占 が崩れ、社内ではまっさらな状態から会社を興すような解体的な改革が 始まった。

「経営破綻からの再建と、事故からの立ち直りとには多くの共通点 がある」。大西会長は8月12日の蒸し暑い日に御巣鷹山で開かれた追悼 慰霊式に出席後、こう語った。共に「過去をすべて白紙に戻して、一個 一個もう一度積み上げ直す」作業。

今回について言えば、白紙からというのは身を切るほどの抜本的改 革を実行するということだ。これまでに2万1000人が職を失い、ミラノ やローマ路線といった名門路線にまで斧(おの)を振り下ろした。また かつて日航は世界最大のボーイング製ジャンボジェットを運航する航空 会社だったが、残っていた37機についても全て手放した。過去16年のう ち10年で赤字を計上していた日航は今年3月、世界で最も利益率の高い 航空会社としてよみがえった。

アトランティス・インベストメント・リサーチ(東京)のエドウィ ン・マーナー社長は「日航は過去20-30年放置してきた多くのことに取 り組んできた」と語った。

上限価格

日航株の再上場は今年の世界の新規株式公開(IPO)で2番目の 規模となったが、1株あたりの売り出し価格は仮条件の上限に決定し た。

「完全に独り立ちできる状態でIPOにこぎ着けた航空会社はほと んど聞いたことがない。非常に手際よかった」とアジア太平洋航空セン ター(シドニー)代表として航空各社に助言しているピーター・ハービ ソン氏は話す。

日航は上場後、時価総額で全日本空輸を抜いて世界第4位の航空会 社となるとみられる。全日空は1985年の御巣鷹山事故後に国際線運航許 可を得た。時価総額トップはチリ・サンチアゴに拠点を置くLATAM エアラインズ・グループの118億ドルで、2位はシンガポール航空、3 位は中国航空。

原題:JAL’s $8.5 Billion Rebirth Took Lessons From Crash-Site Morgue(抜粋)

--取材協力:松田潔社、Ben Richardson.

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