iPhone5が試すLTE-顧客は高速通信に代価払うか

やや大げさに言えば、アップルが発 売する「iPhone(アイフォーン)5」で最も革新的なことは「ロ ング・ターム・エボルーション(LTE)」と呼ばれる高速無線通信技 術に対応したことだろう。

キャリアと称される通信事業者は数十億ドルを投じて高速インター ネット接続サービスを提供するとともに、通信容量を拡大してきた。だ からキャリアは顧客を獲得し、投資を回収する必要がある。ブルームバ ーグ・ビジネスウィーク誌(9月17日号)が報じた。

シスコ・システムズの販売担当ディレクター、ムラリ・ネマニ氏は 「アイフォーンがLTE普及の最初の大きな触媒役になるだろう」と話 す。

LTEはスマートフォン(多機能携帯電話)での高画質映画のスト リーム観賞やビデオチャットを可能にし、ファイルや写真をクラウド上 に保存することもスムーズにできるようになる。しかし、そうしたデー タの配送料を顧客に支払わせるとなると話は別だ。LTEは大半の3G ネットワークの2倍の通信量を処理できるが、シスコ社によればスマホ やタブレット端末の普及によってモバイルデータの需要は2016年にかけ て18倍に急増すると予想されている。

これまでキャリアは通信量増大に、使用上限を設けることではなく 定額制で対応してきた。もし高額課金されるなら顧客は割安な3Gでい いと言うか、コーヒーショップなどで無料WiFi(ワイファイ)を利 用するようになるだろう。逆に4G通信料金を安くし過ぎると、通信量 が膨らんで通信速度が落ちる事態となる。

データ洪水の懸念

アイフォーン5が登場したおかげで、今後事態がどうなるのか判明 するのに長くかからないだろう。BTIGのアナリスト、ウォルター・ ピエシク氏によると、現在AT&TでLTEを利用している顧客はわず か200万人。ところがアイフォーン5は年末までに5000万台が売れると 予想されている。

サンフォード・バーンスティーンのアナリスト、クレイグ・モフェ ット氏は「データ利用が膨らむ一方で可処分所得の増えない世の中にあ って、こんな状況は持続するのかとの疑問が生じよう」と指摘する。

通信業界ではこれまで、通信帯域の利用権確保や設備に合計で67 億5000万ドルを投じてきた。さらに4Gネットワークを世界に広げるた めには2016年までに620億ドル(約4兆8000億円)の追加投資が必要に なると、市場調査会社のインフォネティクス・リサーチは試算してい る。

キャリアは今後、単にデータ容量を売るだけでなく、無制限の映画 ストリーミングを月額10ドルで提供するなどもっと創造的な料金パッケ ージを顧客に提示する必要がある。また、キャリアとしては映画や楽曲 などのコンテンツ保有者やアップルなどの配信業者に対し、将来通信コ ストの一部負担を要請することになる可能性もある。

原題:IPhone 5 Shift to LTE Tests What Users Will Pay for Speed: Tech(抜粋)

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