NY外為:ドル下落、追加緩和観測強まる-米格下げ懸念も

11日のニューヨーク外国為替市場で は、ドルが主要通貨全てに対して下落した。12日から2日間にわたり開 催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合を控え、米金融 当局が景気後押しへ向けた国債買い入れを実施するとの観測が広がっ た。

ドルは対ユーロでほぼ4カ月ぶり安値に沈んだ。米格付け会社ムー ディーズ・インベスターズ・サービスはこの日、米国は対国内総生産 (GDP)での債務比率を縮小させなければ「Aaa」格付けを失う恐 れがあると発表。これを受けてドル売りが膨らんだ。ユーロは上昇。ド イツの連邦憲法裁判所が欧州安定化メカニズム(ESM)に関して予定 通り12日に判断を下すと明らかにしたことが手掛かり。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フ ラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「足元のドルの地合いは悪化し ている」と指摘。「ドルに対する投資家心理は急速に変化した。米当局 の追加緩和観測や欧州のテールリスクの減少に続き、格下げリスクがド ルの弱材料となっている」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時57分現在、ドルは対ユーロで前日 比0.8%下落して1ユーロ=1.2861ドルと、5月14日以来の安値となっ ている。円に対しては0.7%安の1ドル=77円74銭と、6月1日以来の 安値を付けた。ユーロは円に対して0.1%上昇の1ユーロ=99円97銭。

ドイツの憲法判断

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ外国為替・金利テ クニカル戦略責任者、マクニール・カリー氏は11日付顧客リポートで、 ユーロが対ドルで4カ月ぶり高値を更新する可能性を指摘した。ユーロ は終値が1ユーロ=1.2830-1.2850ドルの主要抵抗線を上抜けた場合、 引き続き上昇して1.2975-1.30ドルに達する可能性があるという。

ユーロは昨年10月31日以来で初めて、200日移動平均の1.2835ドル を上回った。

JPモルガン・チェースの指数によると、主要7カ国(G7)通貨 の3カ月物オプションのインプライドボラティリティ(IV、予想変動 率)は7.81%と、2007年10月以来の低水準になった。IVが低下する と、相場の変動で投資利益が失われるリスクは小さくなるため、政策金 利の高い国の通貨への投資妙味が一段と増す。

ドイツの連邦憲法裁判所は、5000億ユーロ規模の欧州安定化メカニ ズム(ESM)への同国の参加について、12日に合憲性をめぐる判断を 言い渡す。違憲性を主張して訴えを起こしていた原告側の1人は、欧州 中央銀行(ECB)が無制限の国債購入の計画を示したことを受けて、 判断の延期を求めていた。これに対し同裁判所はこの日、判断は延期し ないとの声明を電子メールで配布した。

米格下げ懸念

野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サ ンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は「憲法裁判所の判断を誰もが待ち 受けている」とし、「可能性が最も高いのは、ESMを認める判断だ。 投資家はまた、この先の量的緩和(QE)の可能性も織り込んでいる」 と述べた。

ムーディーズはこの日発表した文書で、米議会が対GDPでの債務 比率を圧縮する政策を打ち出さなければ、米国の信用格付けを「Aa a」から「Aa1」に引き下げる可能性があると述べた。

クレディ・スイスのグローバル為替調査責任者、ダニエル・カッツ ァイブ氏は、追加の金融緩和が実施されたとしてもドルは過去に比べそ れほど下落しないであろうとの見方を示した。同氏はブルームバーグテ レビジョンとのインタビューで、「今回QEがあっても、前回2度の QEが行われた時より世界的な経済成長は強くない」とし、「新興国市 場への大きな資金流入は起こらないだろう」と解説した。

原題:Dollar Drops Before Fed Votes on Added Stimulus, Moody’s Warns(抜粋)

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