日本の雇用者報酬、危機時の低水準に接近-企業の経費削減で

日本企業が経費削減のために賃金を 抑制している結果、消費者需要が弱まっており、デフレ対策としての金 融緩和を正当化する根拠が強まっている。

内閣府の10日の発表によると、全国の雇用者報酬(名目、季節調整 後)は4-6月(第2四半期)に約243兆5000億円となった。これ は、1991年以来の低水準となった2009年10-12月(第4四半期)をわず か0.7%上回る額。

昨年の震災後に事故が起きた原子力発電所を運営する東京電力から 輸出企業のパナソニックやシャープに至るまで、多くの日本企業が経費 削減に取り組んでいる。日本経済にとってのリスクは、90年代の資産バ ブル崩壊以降、同国を悩ませてきたデフレが長期化することや、14年4 月の消費税率引き上げで個人消費の低迷がさらに深まることだ。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは 「賃金デフレが続いている限り、引き続き緩和をしていかないといけな いのは間違いない。打ち止めにはならないだろう」と指摘する。

4-6月期の単位労働コストは前年同期比3.6%低下した。ブルー ムバーグのデータによると、これは10年7-9月(第3四半期)以来最 大の落ち込み。

景気動向を慎重に見極め-政府

安住淳財務相は11日午前の閣議後会見で国内景気について、「復興 需要の好影響が引き続き国内経済のけん引役になっている」としながら も、海外経済の先行き不透明感が国内景気にも影響しているとの認識を 示した。景気対策の必要性については、「政府として何らかの対応が必 要か、もう少し見極めたい」と語った。

米ゴールドマン・サックス・グループは、名目賃金の減少によって デフレからの脱却がさらに遠のくと指摘。JPモルガン証券は、個人消 費が力強さを失っている一因は賃金抑制だと説明する。

日本銀行は「物価安定の目途(めど)」として当面、消費者物価指 数(CPI)の前年比上昇率で「1%」を目指すことを掲げている。し かし、7月の全国CPI(生鮮食品を除いたベース)は、前年同月 比0.3%低下し、3カ月連続の前年割れとなった。一方、明るい材料も ある。政府は、総合的な物価指標であるGDPデフレーターが2013年度 に0.2%上昇すると予測。上昇すれば、16年ぶりとなる。

原題:Japan Cost-Cutting Leaves Compensation Approaching Crisis Low(抜粋)

--取材協力:.

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