野村の永井CEO、海外部門の黒字化、2014年6月までに実現へ

野村ホールディングスの永井浩二最 高経営責任者(CEO)は、リーマン・ブラザーズの事業買収以後、赤 字体質が続いている海外部門について、2014年4-6月期までの7四半 期以内に黒字化する方針を示した。ブルームバーグ・ニュースの取材に 応じ明らかにした。

8月にCEOに就任した永井氏(53)は7日、メディア初となるイ ンタビューで、「グローバルの旗は降ろさない。アジアに立脚したグロ ーバルなインベストメントバンクを目指す」と強調。10億ドルの追加コ スト削減を踏まえ、収益獲得のため中国、インドなどのアジア地域で投 資銀行や証券会社の買収を検討していることも明らかにした。

野村の永井CEOが海外部門の黒字化の達成時期について明確な目 標を示したのはこれが初めて。リーマン買収後、海外部門が巨額の損失 を出し続ける中、株価は昨年に過去37年間で最安値を記録。海外拠点の 合計収支は直近9四半期連続で赤字となっており、投資家は戦略の転換 と黒字化への確かな道筋の提示を求めていた。

シンガポール在住の債券調査会社クレジットサイツのアナリスト、 デービッド・マーシャル氏は、「野村はこれまで多くの地域であまりに 多くのことをしようとし、日本の外では利益を出せていなかった」と総 括。「地域や事業分野などでより焦点を絞った戦略はオペレーションを 効率化するのに役立つに違いない」と述べた。

アジアで投資銀行の買収検討

野村の計画によると、追加のコスト削減は欧州が45%、米州21%、 アジアで18%、日本は16%。永井氏がCEO就任以降、「マザーマーケ ット」と位置づけ、今後の最重要地域としていく方針である日本を含む アジアでの削減率は抑え目となっている。

永井氏はインタビューで、今後、経済成長と富裕層の拡大が見込ま れるアジアで金融機関の買収を検討しているとことを明らかにした。候 補として現在「数社みている」と述べ、中国、インド、インドネシア、 ベトナム、タイで買収のほか合弁会社の設立など資本提携を模索してい るという。候補の具体的な社名や金額への言及は避けた。

同氏は「日本の顧客が野村に期待しているのはアジアでの強みだ」 とアジア事業の拡大に意欲を見せた。その上で、「アジアが成長する。 顧客のニーズもそこにある」と述べ、経済が停滞している日本から生き 残りをかけ海外進出する企業などの顧客ニーズをとらえていきたい考え を示した。

JPモルガン証券の辻野菜摘アナリストは、アジアを重視する野村 の戦略について、「マーケットシェア拡大などによる収益増強を計画し ているが、本当にできるかどうかはまだわからない」と指摘。その上で 「欧州系の金融機関がアジアから引き揚げるときに、野村がビジネスを つかむ機会が出てくる可能性もある」とみている。

来週から人員削減に着手

野村では10億ドル(約800億円)のコスト削減を14年3月期までに 完了する計画だ。永井CEOはコスト削減に伴う人員整理について、9 月17日から「コミュニケーションを始める」と述べ、欧州、米州、アジ アで対象者への通知などの手続きに入る方針を示した。

マッコーリー・グループのアナリスト、アラステア・マクドナルド 氏は野村が打ち出したコスト削減策について、「正しい領域に照準が合 わされている」と評価した。

10億ドルのうち、55%分は不動産やIT(情報技術)関連の費用を 主に減らし、人件費のカットは全体の45%に抑える。前回の12億ドルの コスト削減の際は人件費の割合が63%だった。野村の人員は6月末で合 計3万5063人。欧州3975人、米州2423人、アジア・オセアニア6454人、 日本が2万197人などとなっている。

10日の野村HDの株価は一時、前週末比3.2%高まで上昇し、終値 は8円(2.9%)高の286円と3日続伸して終了した。3日以上の連続上 昇は7月31日以来。一方、10日の日経平均株価は約0.03%の下落で取引 を終了した。

--取材協力:佐藤茂(東京)、Sanat Vallikappen(シンガポール) Editors: 平野和, 持田譲二

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