【今週の債券】長期金利0.8%半ばに上昇か-米緩和観測受けた株高で

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台半ばへ上昇する展開が予想されている。米連邦公開市場委員会 (FOMC)による追加の金融緩和観測が強まるなか、世界的なリスク 選好の動きを背景にした株高が重しとなる見込み。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバーグ が前週末7日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全体で0.77 -0.86%となった。前週末終値は0.815%。

前週の長期金利は、欧州中央銀行(ECB)が無制限の国債購入計 画を発表したほか、米経済指標の改善を受けて水準を切り上げ、7日に は一時0.82%と8月23日以来の高水準を付けた。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは、「世界 的なリスク選好の動きが続き、日本株にプラス要因となれば、日本の金 利も上昇が続くのではないか。財政懸念もくすぶっている」と言う。

米連邦準備制度理事会(FRB)は12、13日にFOMCを開催す る。7日に発表された8月の米雇用者数の伸びが予想以上に鈍化したこ とから追加緩和観測が強まっている。市場では、金融緩和策の時間軸延 長や量的緩和第3弾(QE3)の導入などが予想されている。パインブ リッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長は「QE3の カードが切られず、時間軸の延長だけなら買い材料にはならない」とみ ている。

国内経済指標では、10日に4-6月期の実質国内総生産(GDP) 改定値、12日に7月の機械受注統計が発表される。ブルームバーグ・ニ ュースの調査によると、実質GDPは年率1.0%増加(速報値は同1.4% 増加)へ下方修正、機械受注は前月比2.0%増加(前月は同5.6%増)が それぞれ予想されている。

5年と20年債の入札

11日に5年国債の入札、13日には20年国債の入札が実施される。入 札前にはそれに向けた売りが重しになるものの、パインブリッジの松川 氏は「入札を通過すれば需給環境は改善に向かうだろう」とみている。

今回の5年債入札について、7日の入札前取引では0.225%程度で 推移。表面利率(クーポン)は5回連続で0.2%が見込まれている。発 行額は2兆5000億円程度。一方、20年債入札では、週末の入札前取引で は1.67%程度で推移しており、クーポンは前回債から0.1ポイント高 い1.7%か、横ばいの1.6%となる見込み。発行額は1兆2000億円程度。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は期先限月の12月物、10年国債利回りは325回債。

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物143円25銭-144円00銭

10年国債利回り=0.78%-0.85%

「オランダ総選挙、ドイツ憲法裁判所による欧州安定化メカニズム (ESM)・財政協定の合憲性判決、FOMCの結果が注目材料。 FRBがどのような追加緩和をするかが焦点。一辺倒に買われる状況で はなくなっており、5年債、20年債入札前には弱含みそうだが、下げれ ば買い意欲が強まるだろう。入札通過後は相場は落ち着く」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物143円10銭-144円10銭

10年国債利回り=0.78%-0.86%

「長期金利は横ばい圏か。FOMCでは、実質ゼロ金利政策を2015 年半ばまで継続するという内容が出てきそう。市場環境がよほど悪化し ない限り、5年債と20年債の入札は無難に消化されると思う。国内景気 は、鉱工業生産や小売売上高など足元で悪化しており、GDP成長率の 下方修正を織り込んでいる。年後半はマイナス成長もあり得る」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマ ネジャー 先物12月物143円40銭-144円20銭

10年国債利回り=0.77%-0.85%

「市場の関心はグローバル景気に向いている。米国の景気はミック スだが欧州や中国、日本の減速懸念がくすぶり、足元で金利は上がりに くい。国内投資家は債券を買い遅れており、雇用統計のイベント通過後 に徐々に買いが出てきそう。5年債と20年債の入札を終えると月内の入 札が一段落する。国債大量償還を控え、需給は改善する」

◎パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長

先物12月物143円10銭-144円00銭

10年国債利回り=0.78%-0.86%

「外部環境が日米独の国債にネガティブに傾いてきた上、20年債入 札もこなさないといけないため、金利上昇に警戒が必要だ。特に20年債 には既発債に期末の益出し売りが出やすく、在庫が積み上がる状況から 入札は要注意。水準的にも投資家の需要が不透明。30年債は米債安の影 響を受けづらいディフェンシブ銘柄で、底堅い展開が続く」

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE