【日本株週間展望】業績懸念強くなお下値警戒、欧米材料で波乱含み

9月第2週(10-14日)の日本株 は、下値警戒感がくすぶる展開となりそうだ。世界経済や企業業績の 悪化懸念が強く、外需依存度の高い銘柄には実需の買いが入りにくい。 注目度の高い欧米材料の結果次第では、波乱の展開も予想される。

ベアリング投信投資顧問・運用本部の溜学部長は、「グローバルに 景況感が悪くなっており、底流にあるトレンドとして業績も下がって きていることは見逃せない」と指摘。復興需要などに支えられていた 日本株も、下値を警戒しなければならない局面としている。

第1週の日経平均株価は前週末比31円74銭(0.4%)高の8871 円65銭と、3週ぶりに反発した。週半ばまで軟調な展開が続いたが、 欧州中央銀行(ECB)が南欧国債の買い入れで合意したことを受け た週末に、それまでの下げ分を一気に埋めた。

ECBは6日、ユーロ圏の2012年の経済成長率がマイナス0.4% になるとの見通しを示し、従来のマイナス0.1%から下方修正した。 米国では、4日発表の供給管理協会(ISM)による8月の製造業景 況指数が49.6と、09年7月以来の低水準に落ち込んだ。製造業活動 の拡大と縮小の境目を示す50を割り込むのは3カ月連続となる。

欧米景気の先行き不透明感に加え、世界2位の経済規模を持つ中 国の成長鈍化に対する懸念も強まっている。中国国家統計局などが1 日に発表した8月の製造業購買担当者指数(PMI)は前月比0.9ポ イント低下の49.2と、拡大・縮小の分岐点となる50を昨年11月以来、 9カ月ぶりに下回った。中国の最大の貿易相手である欧州の債務危機 による外需減速が響いた格好だ。

上海総合指数は3年7カ月ぶり安値

こうした経済実勢の悪化を背景に中国株市場から資金流出が加速 し、上海総合指数は5日に一時2029ポイントと、約3年7カ月ぶりの 安値に落ち込んだ。世界的な株高の流れを受けた7日に同指数は大幅 高となったが、先行きは予断を許さない。

独アリアンツ傘下の運用会社、RCMジャパンの寺尾和之最高投 資責任者は「欧州情勢が悪いのはコンセンサスだが、中国経済の減速 は思ったよりきつい」と言う。中国依存度が高い日本の輸出関連企業 は、「中国の減速をまだ十分に織り込みきれておらず、業績下振れ懸念 が強い」とし、景気敏感株には「中国要因を中心にファンダメンタル ズで見て厳しく、総じて様子見から弱気のスタンス」と話している。

中国では、9日に8月の鉱工業生産や小売売上高、固定資産投資、 物価指数、10日には貿易収支が発表予定で、鉱工業生産の市場予想中 央値は前年同月比9%増と7月(9.2%増)から伸びがやや鈍化する見 通し。数値を受けた中国株の動向は、日本株にも影響を与えそうだ。

業績見通しそろって下方修正

国内大手証券3社は8月末から9月1週にかけ、アナリスト予想 などに基づいて集計した最新の企業業績見通しを相次いで公表。海外 経済の低迷や為替の円高傾向に伴う輸出採算の悪化などが反映され、 今期(12年度)予想は5月下旬から6月初めまでに集計した前回予想 に比べ、各社そろって下方修正となった。

6日に業績見通しを発表した大和証券では、金融を除く事業会社 200社の今期経常利益予想を前期比17%増と、前回6月公表時の同 25%増から引き下げた。同証で試算をまとめた守田誠アナリストは、 「グローバル経済の失速で需要の回復期待が後退し、市況・外需関連 業種を中心に下方修正した」と説明。ユーロに対する急速な円高など の「為替要因も企業収益を圧迫する要因」としている。

マクロ、ミクロとも経済情勢は厳しいが、政策発動への期待から 売り圧力も限定されそう。6日のECB理事会後の会見で、ドラギ総 裁が南欧国債を無制限に買い入れる方針を示したことを受け、投資家 のリスク回避姿勢はひとまず和らぎ、世界的な株高につながった。

FOMC、独裁判、蘭選挙

12-13日には、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。 8月末のジャクソンホール講演でバーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長は、必要性に応じ量的緩和第3弾(QE3)実施もあ り得るとの認識を示しており、今回のFOMCではFRBが何らかの アクションを起こすとの見方が大勢だ。

SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、「FO MCの結果が判明するまで投資家は動きにくく、来週半ば辺りまでは 方向感を欠きそうだが、FOMC後に日本株は上昇基調に向かう」と みている。FOMCで不胎化を伴うQE3が決まれば、「FRBのバラ ンスシートを拡大させず、ドルの流通量が増えない半面、景気刺激効 果は見込めるため、投資家のリスク回避姿勢が緩むことで為替は円 安・ドル高に向かいやすく、日本株にとってもプラス」と言う。

このほか、12日にはドイツ憲法裁判所が欧州安定メカニズム(E SM)に対する合憲性判断を下すほか、オランダの総選挙もある。E CBによる国債購入の再開には、ESMを稼働させる準備が各国政府 で整うなどの条件が必要で、独裁判結果への注目度は高い。またオラ ンダでは、反欧州連合(EU)の国民感情と追加財政緊縮への反対を反 映する連立政権が選挙後に誕生する可能性があり、その場合は債務危 機解決に向けた欧州当局の取り組みが一段と困難になる危険がある。

国内では12日に7月の機械受注、13日に8月の首都圏マンショ ン発売統計などが発表予定で、週末14日は株価指数先物・オプション 9月限の特別清算値(SQ)が算出される。東証1部の売買代金は7 日、18営業日ぶりに1兆円を回復したが、基調としては低水準が続い ており、SQ算出を控えたデリバティブの持ち高調整などから、相場 が先物主導で上下に振らされる場面も増えそうだ。

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