円が対ユーロ約2カ月ぶり安値更新、一時100円台-リスク選好

東京外国為替市場では、午後の取引 で円が一段安となり、対ユーロで約2カ月ぶりの安値を更新した。欧州 中央銀行(ECB)の国債購入プログラム合意に加え、米国で雇用関連 指標が好調だったことから、市場のリスク回避姿勢の後退を背景にした 円売り圧力が強まった。

ユーロ・円相場は早朝に1ユーロ=99円60銭を付けたあと、円が弱 含みに推移。午後には一時100円ちょうどと、7月5日以来の水準まで ユーロ高・円安が進んだ。午後4時18分現在は99円97銭付近で取引され ている。円は主要16通貨に対して全面安となり、対ドルでは1ドル=78 円86銭を上値に一時79円ちょうどまで下落。前日の海外市場では79円03 銭と、8月22日以来の円安値を付けていた。

IGマーケッツ証券の為替担当アナリスト、石川順一氏は、「欧米 の好材料を受けて強まったリスクオン(選好)の地合いが東京市場も続 いた」と指摘。株価の動向も追い風となり、円売りが進んだと説明して いる。

前日の米国市場では、S&P500種株価指数が2008年以来の高値に 上昇。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所 (CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は8月24日以来の水 準に低下した。また、東京株式相場は日経平均株価が大幅続伸し、 TOPIXとともに3月27日以来の上昇率となった。

この日の欧州債市場では、スペインの10年債利回りが一段と低下し 5月25日以来初めて6%を下回っている。ユーロ・ドル相場は、一時

1.2670ドルと、7月2日以来の高値を更新している。

米雇用統計に注目

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシ ング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが発表した給与名簿に基づ く集計調査で、8月の民間部門の雇用者数が5カ月ぶりの大幅増となっ た。また、先週の新規失業保険申請件数は前週に比べ減少し、米国で6 日に発表された雇用関連指標は軒並み改善した。

この日の米国時間には8月の雇用統計が発表される。ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月比 で13万人の増加と、7月の16万3000人増からの伸び鈍化が見込まれてい る。

IGマーケッツ証の石川氏は、8月の雇用が7月を上回る伸びとな れば、「ビッグサプライズ」になるとし、リスクオンになって円売りに なると予想。一方、市場予想を下回って雇用の増加幅が10万人切った場 合は、QE3(量的緩和第3弾)の観測が強まることによって、米金利 に低下圧力がかかり、「最終的にはドル売りが強まるシナリオが考えら れる」と言う。

ただ、石川氏は、雇用統計が弱含みとなった場合でも、米金利の低 下で企業の借り入れコストが下がるとの観測が生じれば、「株式市場に はプラスになるとの連想も働く」と言い、株価の動向がリスクオンかオ フ(回避)の分かれ目になってくるともみている。

ECBが無制限の国債購入へ

ECBは6日に開いた政策決定会合で、政策金利を過去最低 の0.75%に据え置いた。ドラギ総裁は会合後の記者会見で、政策委員会 が無制限の国債購入プログラムに合意したことを明らかにした。

同プログラム名は「アウトライト・マネタリー・トランザクション ズ(OMT)」で、購入対象は償還までの期間が1-3年の国債。既発 債で残存期間がこれに当てはまるものも含まれる。購入後は不胎化措置 を実施し、通貨供給量への影響を完全になくす。ECBは購入した債券 について優先債権者とはならないという。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、スペインの 支援要請をめぐる慎重姿勢は崩れていないものの、「枠組みができたと いうことはバックストップ(安全弁)にはなる」とし、ユーロにとって ポジティブな材料なのは間違いないとみている。

スペインのラホイ首相は6日の時点で、国債購入プログラムの利用 について明確な態度を示しておらず、依然として先行きの不透明感は残 る。

村尾氏は、国債購入プログラムは利回りの上昇を抑えるという点で は意味があるかもしれないが、今回の会合では利下げが見送られ、景気 浮揚の対策があまりないと言い、「そこが置き去りになっているので、 むしろ今後の心配になる」としている。

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