債券は下落、欧米不安緩和や株高警戒-長期金利は2週間ぶり高水準

債券相場は下落。米雇用関連指標の 改善や欧州債務問題に対する懸念の後退を背景に、リスク資産の株式 などが買われ、債券が売られた米国市場の流れを引き継いだ。国内株 高も手掛かりとなり、長期金利は2週間ぶり水準に上昇した。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは 「欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ計画決定を受けて、株価が 大幅に上昇し、円安が進んだため、円債は軟調地合い」と話した。た だ、「ECBは景気、物価見通しを下方修正しており、世界的にみると 景気回復のきっかけがつかめない。このため利回り上昇も限られ、押 し目買いが入ってくると思う」とも述べた。

東京先物市場で中心限月9月物は、前日比16銭安の143円93銭 で取引を開始し、直後に143円85銭と、日中取引で8月28日以来の 安値を付けた。その後は下げ幅を縮め、11銭安の143円98銭まで下 げ渋ったものの、午後に入ると143円86銭とこの日の安値付近まで下 落し、結局は16銭安の143円93銭で引けた。

9月物は10日に最終売買日を控えており、限月交代に向けた動き も進んだ。9月物と期先限月の12月物との限月間スプレッド取引は日 中で2兆円を超す売買高となった。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の325回債利回り は同1.5ベーシスポイント(bp)高い0.82%と、8月23日以来の高 水準で開始。いったん0.815%を付けたが、午後に入るとは0.82%で 推移。午後3時過ぎから再び0.815%で取引された。ドイツ証券の山 下周チーフ金利ストラテジストは、「国内債は入札が続くため需給面も 不安。10年債の0.8%台半ばでは押し目買いが期待できるが、国内の 政局流動化も勘案すると先行きに金利水準が切り上がる可能性がある」 と述べた。

30年債利回り1.905%

5年物の105回債利回りは1bp高い0.21%と1週間ぶり高水準。 20年物の139回債利回りは一時2bp高い1.67%と1週間ぶり水準ま で上昇した。前日に入札された30年物の37回債利回りは1.905%と、 新発30年債利回りとしては、4月以来の高水準で取引された。

6日の米株相場は上昇。S&P500種株価指数は前日比2%上げ て1432.12。米民間会社が集計調査した8月の雇用者数が前月比20万 1000人増加し、予想を上回る伸びを示したほか、欧州当局が域内のソ ブリン債危機収束を目指し債券購入計画を発表したことが背景。一方、 米債相場は3日続落。米10年債利回りは8bp上昇の1.68%程度。

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長 は「ECBが新たな国債購入プログラムを決定したほか、オートマテ ィック・データ・プロセッシング(ADP)雇用統計が強い数字とな ったことを受けて円債は売りが優勢だ」と言う。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは、米国 では雇用関連指標が良い数字だったことから、「今晩の米雇用統計も市 場予想を上回る増加となる可能性が出ている」と指摘した。8月の雇 用統計について、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、 非農業部門の雇用者数は前月比で13万人増加と、7月の16万3000 人増から伸びの鈍化が見込まれている。

こうした中、政府は7日午前の閣議で、赤字国債発行の裏付けと なる特例公債法案の不成立を受け、戦後初となる今年度予算の執行抑 制を閣議決定した。9月からの3カ月間で地方交付税など計5兆円程 度の財源を抑える。同法案の成立が見込めなければ11月末で財源が枯 渇する見通しで、追加措置が必要となる。

みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコノミ ストは、同法案不成立について、「市場には、国債発行が止まれば需給 が引き締まるので支援材料というのと、資金繰りに行き詰まってデフ ォルト(債務不履行)の危険高まるという2つの見方がある」と指摘。 その上で、「仮に国債発行が止まっても後でまとめて発行されるのであ れば良い材料にはならない。法案成立は、解散・総選挙の時期次第。 資金繰りの行き詰まりを回避し、最終的には法案が成立すると思うが、 チキンレースの様相をしており、ぎりぎりまで粘るのではないか」と 述べた。

--取材協力 赤間信行 Editors:山中英典、青木勝、崎浜秀磨

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