ドラギ総裁が信認懸ける「ユーロ防衛」責務-約束履行に期待

欧州中央銀行(ECB)のドラギ 総裁が6日に遂行すべき職務は、ユーロ救済案を提示するという単純明 快なものだ。

ドラギ総裁は1カ月余り前、ユーロを存続させるために必要なあら ゆることを行う用意があると約束した。現在、スペインとイタリアの借 り入れコストを押し下げ、欧州通貨同盟(ユーロ圏)の崩壊を回避する 国債購入計画の細部まで詰めるよう求める圧力にさらされている。事前 の期待が非常に高まっているため、ドラギ総裁がこの日の政策委員会終 了後の会見で約束を果たさなければ、信認を失う危険があると、エコノ ミストや投資家らはみている。

バークレイズの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロ ー氏(ロンドン在勤)は「ドラギ総裁は自らの信認を真正面から危険に さらしている。ユーロを救うという責務を自ら引き受けており、そうす ることが求められるだろう」と指摘する。

ブルームバーグ・ニュースが入手した発言記録によれば、ドラギ総 裁は今週に入って、欧州議会議員らとの非公開の会合で、ユーロ圏経済 の分断が進む中で、金利を制御する能力を取り戻し、ユーロを救うため にECBが国債市場に介入する必要があると語った。わずか2日前に政 策委メンバーの元に送られたプランの中で、ドラギ氏は償還期間が最大 約3年と短めの国債を無制限に購入することを提案したもようだ。中央 銀行の2人の当局者が匿名を条件に明らかにした。ドイツ連邦銀行はこ の案に反対した。

利下げは見方分かれる

ECBは6日、政策委終了後に政策決定を公表するが、ドラギ総裁 はその45分後のフランクフルト時間午後2時半(日本時間同9時半)か ら記者会見する。ECBが過去最低の0.75%の政策金利をさらに引き下 げるかどうかについてエコノミストの意見は分かれている。ブルームバ ーグが調査した58人のうち30人が、0.5%に0.25ポイント引き下げると 予想したのに対し、残り28人は政策金利が据え置かれると考えている。

ECB政策委は、資産購入プランの実施方法や政策金利の協議に加 えて、新たな経済見通しを検証し、資金供給オペ(公開市場操作)の適 格担保基準を緩和するかどうかについても決定を行う見込みだ。

ABNアムロ銀行のマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏(アム ステルダム在勤)は「われわれは資金オペの適格担保基準の緩和が発表 される可能性が高いと考えているが、ECBに預金金利をマイナス圏に 引き下げる用意があるようにはまだ思えない」との見方を示す。ECB が政策金利を引き下げ、預金金利との75ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)の差を維持しようとすれば、現在ゼロの預金金利はマイナ ス圏に下がる。

救済基金

ただ、焦点となるのはやはり、債券購入案。米パシフィック・イン ベストメント・マネジメント(PIMCO)のドイツでのポートフォリ オ管理責任者、アンドルー・ボゾムワース氏は、「ドラギ総裁は市場の 期待のバーを非常に高く設定した。失望させないためには、ECBは透 明性を確保し、少なくとも購入しようとする国債の満期を詳しく説明す る必要があるだろう」と話す。

ドラギ総裁の案では、ECBは購入対象国の流通市場で短期債を購 入することになっており、欧州救済基金に対して発行市場での国債購入 の支援要請をした国が対象となる。これらの国は支援を受けるための諸 条件履行を約束することが義務付けられる。スペインもイタリアもこう した要請はまだ行っていない。

不胎化と優先弁済権

2人の当局者が5日語ったところでは、貨幣を増発しているとの懸 念を和らげるため、ECBは国債購入の影響を不胎化する方針。また、 買い入れる国債について優先弁済権は持たず、ドイツ国債に対する上乗 せ利回り(スプレッド)の目標や許容変動幅を公に設定することもない 見通しだ。さらに複数の関係者によれば、欧州の救済基金に支援要請を 行う際に同意した条件を当該国の政府が履行しない場合、ECBが国債 の購入を中止する可能性も含めて、プログラムの厳格な条件をドラギ総 裁が強調することになりそうだ。

一方、スペインのラホイ首相とドイツのメルケル首相は6日にマド リードで会談し、ユーロ危機について協議する。会談後の共同記者会見 は、マドリード時間午後2時半(日本時間同9時半)ごろとドラギ総裁 の会見開始と同じ時間に設定されている。

原題:Draghi Credibility at Stake as Markets Look to ECB to Save Euro(抜粋)

--取材協力:Annette Weisbach、Kristian Siedenburg、Oliver Suess.

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