米国債:続落、ECBは無制限に国債買い入れとの観測で

米国債市場では利回りが約1カ月ぶ り低水準から上昇した。欧州中央銀行(ECB)の債券購入案の具体策 としてソブリン債を無制限に買い入れることが示唆されていると伝わ り、安全資産とされる米国債の投資妙味が薄れた。

30年債利回りは一時、上昇幅を縮小する場面も見られた。今週発表 される8月の米雇用統計では、雇用増加ペースの鈍化が示されると予想 されており、米金融当局が景気刺激を目指し資産購入プログラムの第3 弾に踏み切るとの観測が強まっている。米連邦公開市場委員会 (FOMC)は会合を来週に控えている。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニュー ヨーク在勤)は「欧州発の良いニュースは何であれ、状況が様変わりす ることを示唆する」とし、利回りについて「上昇しているという事実は プラスの兆候だ」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間 午後5時現在、30年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)上昇の2.71%。一時、2.66%まで下げる場面も見られた。 前日は一時2.65%と、8月7日以来の低水準を付けていた。この日の同 年債(表面利率2.75%、2042年8月償還)価格は17/32下落して100 27/32となっている。

10年債利回りは2bp上昇して1.60%。一時は1.55%まで下げてい た。前日は1.54%と、8月6日以来の低水準を付ける場面もあった。

米当局による追加金融緩和の観測を背景に、利回りが大幅に上昇す る可能性は抑えられているとコーリ氏は指摘した。

割高感がやや後退

米国債は今週に入り、過去1カ月で最も割高な水準から下落した。 FRBのエコノミストが開発した金融モデルに基づく10年物タームプレ ミアム(期間に伴う上乗せ利回り)は、この日マイナス0.93%と、8 月31日に付けたマイナス0.96%から上昇。マイナスのタームプレミアム は、適正水準を下回る利回りでも投資家が積極的に受け入れていること を意味する。年初来平均はマイナス0.73%。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによる と、年初から前日までの米国債リターンは2.5%。一方、S&P500種株 価指数は同期間に配当の再投資を含め13%上昇した。

欧州当局は3年目に突入した域内債務危機の収束に取り組んでい る。当局の説明を受けた中銀関係者が匿名を条件に明らかにしたところ では、「マネタリー・アウトライト・トランザクション」と名付けられ ているECB計画案の購入対象は広範囲の資産ではなく国債のみで、年 限が3年程度までのものになる。国債購入によってシステムに流れ込ん だ流動性を他の部分で吸収して購入を不胎化し、通貨供給量への影響を 中立にするという。

下押し圧力

ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏は 「これが万能薬もしくは答えになるとは思わないが、正しい方向への一 歩だ」とし、「米国債には下押し圧力がかかった」と指摘した。

ECBのドラギ総裁は今週、欧州議会の非公開会合で、利回り抑制 力を取り戻しユーロを防衛するために国債市場への介入が必要だとの認 識を示した。総裁は明日、ECB会合後の記者会見で政策を発表する見 通し。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス 氏(ニューヨーク在勤)は「計画は通りそうだ」とし、「財政調整や犠 牲は必要だが、それと同時に経済成長も達成しなければならない。この 計画により当局は時間の余裕を得られ、一層の低金利のメカニズムが経 済成長をもたらすことが望まれる」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によると、 ECBは今週の会合で政策金利を現行の0.75%から0.5%に引き下げる と予想されている。

原題:Treasury Yields Rise From One-Month Lows on ECB Bond-Plan Bets(抜粋)

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