【寄稿】ハーバード、不祥事の温床は選抜過程にあり-ライリー

名門中の名門、米ハーバード大学で 学部生約125人がカンニングの疑いで調査を受けているというニュース は、世間からありがちな反応を引き起こした。

頭がいいはずの彼らがなんでそんな愚かなことをしたのだろう。 「議会入門」というそのクラスのほぼ半数にも上る学生が試験でほとん ど同じ答案を提出して、ばれないと思う方がおかしい。

自身を撮影した不適切な写真を送りつけた政治家と同じように、こ の超優秀な学生たちは事がばれるとは思わなかったらしい。政治家とハ ーバード大生のもう1つの共通点は、自分が一番頭がいいと思っている ことなので、試験を採点する教授や大学院生たちを出し抜けると考えた のかもしれない。

カンニングを疑われている学生の何人かは、教授が講義ノートを見 せ合うことを許可していたのだから、ノートを見ながら受けてもよい試 験で答案が同じになるのは当然だと言い訳した。

ハーバード大の運営委員会は処分を検討中。退学が当然だと思うだ ろうが、そうではない。

ジェイ・ハリス学部教育部長は、大学側はこれを学問における誠実 さについて学生らに語る契機とする方針だと述べている。インターネッ トの普及によって知的財産という概念に対する姿勢が変わってしまった と指摘。他の人の説を切り張りするような行為が倫理上問題だというこ とを学生に理解させるのが難しいと説明した。そういうものだろうか。

熱帯雨林でボランティアすれば有利

しかし、ハーバード大学が1年生向けに必修の「学問的誠実性入 門」のコースを設ける前に、提案したいことがある。2%の学生がカン ニングをしていたということは、入学選抜制度を見直すべき時だという ことではないだろうか。

どの生徒がカンニングをしそうかを入学選抜の担当者に見分けろと 言うのではない。担当者に分かるはずがないということが問題なのだ。

入学希望者が熱帯雨林保護のボランティア活動をしようと、自己犠 牲の精神について素晴らしい小論文を書こうと、教師や聖職者、研修先 の企業での上司らが推薦状でどれほど絶賛しようと、その生徒がカンニ ングをしないということにはならない。

実際、自分がどんなに素晴らしいか書きまとめる人間が必ずしも最 も素晴らしい人間であるわけではない。

アンドルー・ファーガソン氏は子供を大学に押し込むための父親向 け指南書で、大学入学の選抜プロセスを通じてティーンエージャーたち に、本当の目的を他人には分からないようこっそりと追求することを学 ぶと説明している。

親やプロが手伝う小論文

入学希望者たちが小論文を書くのに両親や学校の進路指導カウンセ ラー、民間のコンサルタントに手伝ってもらうことを考えると、学生た ちが期末試験で友人同士「助け合う」ことに問題がないと考えるのも無 理はないかもしれない。

こんなカンニング事件が起こってしまった今、われわれは現行の入 学選抜制度が時間と金の無駄であることを認めるべきではないか。 SAT(大学進学適正試験)の成績で入学者を決めればいい。文章力を 試したいならSATのライティング部分を見ればいい。昨年のニューヨ ーク州ロングアイランドで不祥事はあったものの、SATでカンニング するのはかなり難しい。人種や民族、社会経済的な階級で多様な学生を 求めるならば、出願書類で人種や民族を申告させるとともに両親の納税 証明書を提出させればいい。

選抜過程はそれだけだ。面接はしない、価値観や倫理的な葛藤につ いての質問もやめだ。「特別な事情」を説明した書簡もいらないし、ど の志望者の夏休みの過ごし方が優れていたかや、ホームレスの人のため の炊き出しと野球チームでの活動のどちらがいいかを決めるのに時間を かける必要もない。

それでも学生はカンニングをするかもしれないが、してはいけない と説明するのは楽になるはずだ。(ナオミ・シェーファー・ライリー)

(ナオミ・シェーファー・ライリー氏は教育関係の著述家です。この寄 稿の内容は同氏自身の見解です)

原題:Harvard Cheating Exposes Admissions Game: Naomi Schaefer Riley(抜粋)

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