カイツリー効果で東武の調達コスト低下、上乗せ金利3分の1

東武鉄道の資金調達コストが急低下 している。同社が運営する東京スカイツリーの増収効果で信用力が向上 しているためだ。8月に借り換えたシンジケートローン(協調融資) は、基準金利に対する上乗せ幅(スプレッド)が、5年前に比べ、3分 の1以下に低下した。

東武鉄道財務部の山本勉課長によると、借り換えで調達したのは総 額200億円。三井住友信託銀行を主幹事とする協調融資で、年限5年と 7年の2本。借り換え対象となった2007年実行の融資金利が6カ月円 TIBOR(東京銀行間取引金利)+17.5bp(ベーシスポイント、1 bp=0.01%)だったのに対し、今回の融資のうち5年物のスプレッド は3分の1以下に低下したという。

みずほ証券の高橋光佳シニアクレジットアナリストは4日の電話イ ンタビューで、「東京スカイツリーの増収効果は会社計画を上回り、財 務改善はかなり前倒しで進む」と指摘し、スカイツリーの稼働が信用力 回復を下支えしていると述べた。また、カネ余りの銀行は融資の開拓に 力を入れており、「安心感のある企業向けの融資にお金が集まってしま う」結果、スプレッド低下を後押ししているとの見方を示した。

同社の発行体格付を「BBB」とする格付投資情報センター(R& I)は7月時点で、格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引 き上げ、「スカイツリーの開業効果を、グループの収益基盤底上げに着 実につなげていけるか精査したうえで格付けに反映させていく」と指摘 している。

スカイツリー

スカイツリーは主要な観光地のひとつである浅草から1.5キロメー トルほど東側の東京都墨田区押上にある。634メートルと世界最高のタ ワーの集客効果は高く、鉄道の利用者は増加。これに伴い、展望台や周 辺商業施設などからの収益貢献も期待される。

同社は当初、タワーと商業施設「東京ソラマチ」などからなる「東 京スカイツリータウン」の集客数は年間で約3200万人と見込んでいた。 これに対し、5月の開業から100日で同タウン全体の来場者は1666万人 を突破、目標の2分の1を達成した。

東京スカイツリータウン開業広報事務局の福田康人氏によると、東 武鉄道を含む4社が乗り入れるスカイツリー最寄り2駅の利用者数は開 業前後で1.6倍に膨らんだ。これらに伴い、4-6月のプロジェクト全 体では、営業収益が当初計画に比べ14億円増の43億円、営業損益は1億 円の赤字と当初計画(16億円の赤字)を大幅に上回っている。

同社はスカイツリー関連収益により、14年3月期までの中期経営計 画で12年3月末で8479億円あった有利子負債残高を8100億円に減少させ る目標を掲げている。しかし、みずほ証券の高橋氏は会社予想を上回 る7000億円台まで削減できるとみている。

ブルームバーグ・データによると、東武鉄道の残存20本の社債平均 利回りは年1.38%。これに対し、有価証券報告書に記載されている長期 借入金の平均利率は1.5%と、社債に比べ高い水準にあった。借り換え に伴い、借入金の利率は引き下げられた。

--取材協力:松田潔社 Editors:持田譲二, 平野和

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