金融機関分割、トレーディング事業に不利-資金調達コスト面で

米銀シティグループのサンフォー ド・ワイル前最高経営責任者(CEO)が唱える銀行業務の分割案が思 わぬ困難に直面している。債券市場での調達コスト増という障害だ。

米金融業界のトレーディング業務の資金が借り入れに頼っているこ とが背景にある。連邦当局の預金保険を利用できるバンク・オブ・アメ リカ(BOA)やJPモルガン・チェース、シティグループといった総 合金融機関の一部となっているトレーディング事業は、低コストで資金 を調達できる。一方、銀行の傘下になく米連邦準備制度理事会 (FRB)に支援を要請できない証券会社ジェフリーズ・グループは、 資金調達に際して信用市場で高めの借り入れコストを負わされているの が現状。

ボストン大学のモーリン・センター・フォー・バンキング・アン ド・ファイナンシャル・ローのコーネリウス・ハーリー所長は電話イン タビューで、「マザーシップ(親会社)を離れれば、同時に政府とも縁 を切ることになるため、子会社が存在する」とし、「資金調達上の利点 が重要だ」と述べた。

株価が清算価値以下にあることに伴い、株主やアナリスト、ワイル 氏をはじめとする業界の大御所は米大手金融機関の分割を求めている が、金融機関側はこうした要求を受け入れていない。分割支持派は、金 融機関の運営が複雑になり過ぎているほか、規制による負担が過度に大 きく、納税者に対するリスクもあるとの立場だ。

過去との相違

金融機関は株主のリターンを改善するため、部門売却やスピンオフ (分離・独立)を進めてきた。シティはワイル前CEOの下で2002年、 損害保険子会社トラベラーズ・プロパティ・カジュアルティの新規株式 公開(IPO)を実施。当時と現在の違いは、BOAメリルリンチのよ うな証券会社が低い資金調達コストを享受しているという点だ。

08年のベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズ・ホールディン グス、それに昨年のMFグローバル・ホールディングスの破綻は、銀行 の傘下にない証券会社のリスクが投資家の従来認識より高いことを示し た。メリルは、リーマンが破綻を宣言した同じ日にBOAへの身売りで 合意。1週間後にはゴールドマン・サックス・グループとモルガン・ス タンレーがFRBの監督を受ける銀行持ち株会社に転換した。

総合金融機関の分割は、08年に経営が行き詰まった証券会社の古い モデルが債券市場で復活することを意味するだろう。BOAの1兆400 億ドルに上る預金がなければ、メリルはトレーディング事業の資金調達 などで再び資本市場に頼らざるを得なくなるだろう。BOAの広報担当 ジェリー・ドゥブロウスキー氏によると、同行預金の約80%が連邦当局 の預金保険の対象となっている。

債券市場ではジェフリーズの21年償還債利回りは約5.81%と、ゴー ルドマンの22年償還債利回り4.38%を上回っている。ムーディーズ・イ ンベスターズ・サービスの格付けがジェフリーズと同じ「Baa2」の BOAは、22年償還債利回りが3.99%。

原題:Breaking Up Banks Hard to Do With Traders Addicted to Deposits(抜粋)

--取材協力:Mary Childs.

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