円が対ドル78円前半、海外景気減速懸念でリスク回避

東京外国為替市場では、円がドルに 対して小幅高となる78円台前半で推移。中国経済指標の弱含みに続いて オーストラリアの小売売上高が悪化するなど世界的な景気減速懸念がく すぶる中、リスク回避の行き先として円に買い圧力がかかった。

ドル・円相場は午前に一時78円20銭までドル安・円高が進み、前週 末の海外市場で付けた8月13日以来の円高値78円19銭に接近。午後にか けては78円台前半で推移し、午後3時56分現在は78円31銭付近で取引さ れている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、中国経済の影響 は大きく、豪州の指標悪化も相まって、豪ドル売り主導で全般的な円買 いにつながったと指摘。米国の主要指標や欧州情勢に加えて、豪指標へ の警戒感も強まる中、「円安方向には行きにくい」と説明した。

午前に発表された7月の豪小売売上高は前月比で0.8%の減少 と、2010年10月以来の大幅減となった。また、中国で1日に発表された 8月の製造業購買担当者指数(PMI、季節調整済み)は49.2と、7月 の50.1を下回り、9カ月ぶりに拡大と縮小の分岐点となる50を割り込ん でいた。この日発表されたHSBC製造業PMIも47.6と、前月を下回 った。

豪ドルは下落幅を拡大し、対円では一時1豪ドル=80円12銭と、7 月25日以来の安値を付けた。

米QE3観測がドルに重し

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、前週 末8月31日に米ワイオミング州ジャクソンホールで行われた年次シンポ ジウムで講演し、「長期にわたる失業率の高止まりによって、多大な犠 牲を被り、有能な人材が無駄にされている」と指摘。「米経済に長期に わたり構造的な打撃を加える恐れがある」と語った。また、「注意深く 検討した場合、非伝統的な政策のコストは管理可能なようだ。それは経 済状況が正当化すればそのような政策を追加で実施する可能性を排除す べきでないことを意味する」と述べた。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、バーナンキ議長の講 演は、状況に応じて緩和する用意が常にあることをにおわす内容で、予 想通りだった割に量的緩和第3弾(QE3)期待が高まったという見方 が強いと指摘。その上で、そうした盛り上がりがあるために、目先はド ルが買いにくく、「ドル・円はいったん下を試すような雰囲気がある」 と話した。

ただ、鈴木氏は、今週末の米雇用統計を見極める前で「78円を抜け るほどQE3が確信できたという雰囲気もないだろう」とも述べた。

米国の追加緩和観測が強まったことで、前週末の米国債相場は続伸 し、10年債の利回りはほぼ4週間ぶりの水準に低下。主要6通貨に対す るインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル・インデックスは一 時80.964と、5月以来の低水準を付けた。

また、ユーロ・ドル相場は前週末の海外市場で一時1ユーロ =1.2638ドルと、7月2日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。東 京市場では1.25ドル台後半を中心に取引された。

米国の追加緩和策を探る上で景気動向が注目される中、今週は4日 に米供給管理協会(ISM)が8月の製造業景気指数を発表するほか、 7日には同月の雇用統計などの経済指標が発表される。

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