トヨタ自動車が本社近くに計画し、 周辺里山への環境評価などで着工が遅れていた巨大テストコース建設 が秋にも本格的に始まることになり、愛知県が主体となる用地造成工 事の一部をゼネコン2位の清水建設などが約93億円で受注した。これ を第一弾として、県では工事発注を進めていく考えだ。

愛知県企業庁研究施設用地開発課の野々山弘紀課長は27日のイ ンタビューで、テストコースの一部区域の造成工事を清水建設など3 社の共同企業体(JV)と今月に正式契約したと明らかにした上で、 「工事は11月ぐらいには始まると思う」と話した。用地買収と造成を 手掛ける県の事業としては「他に比較のしようがないほど」大規模と 指摘。開発面積では中部国際空港島や愛知万博を上回るという。

豊田市のトヨタ本社近くの新テストコースは豊田、岡崎両市にま たがる下山地区の650万平方メートルの土地に建設予定。造成費の総 額は700億円程度を見込んでいる。すでに取得している土地の買収費 用と合わせ1000億円規模になる開発費用はトヨタが負担するという。 これに加え、コース自体や建物の建設費用がかかることになる。

最近の国内大型投資案件では、東武鉄道グループによる東京スカ イツリーの設備投資額は約600億円だった。一方、清水建設が今回落 札したのは全体の造成工事の一部だが、それでも93億円の受注額は県 が一つの事業に支出する額として、野々山氏は「数年に一度あるかな いか」というほど多額だという。

約2年かけ周辺の環境評価

建設予定地は山林の合間に水田や湿地が点在する里山で、トヨタ 本社から車で30分ほどの距離。当初は2010年度着工予定だったが、 予定地では環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定される鳥 類の営巣が判明したため、約2年かけて周辺の環境評価を実施、土地 に手を加える改変面積を410万平方メートルから270万平方メートル に縮小するなど環境に配慮した。

県の資料によると、テストコースには周回路や坂路、カントリー 路のほか、実験棟や物流棟、厚生施設などを設置し、3850人が勤務し て乗用車の開発にあたる計画だ。

トヨタ広報担当の山田詩乃氏は、県の用地造成工事に約8年、全 施設完成は着工後約13年の予定と説明した。また、新テストコースは 本社に近く、規模の面でも好適地で、一部分散している研究開発機能 を本社地区に集約して、一体化を図ると指摘し、環境や安全に対応し た車をタイムリーに投入できると電子メールでコメントした。

清水建設広報担当の丸山潔氏は取材に対して、8日6日に落札し、 落札金額が税込みで93億円だったのは事実とした上で、施工者として の立場から、それ以上のコメントは差し控えたいと述べた。

野々山氏は「愛知県の中心は自動車産業。地域が生き残るために 研究開発機能をここに残してもらいたいという県の願いとまさに合致 し、非常に重要な施設と考えている」とテストコースに期待を寄せた。 施設内の他のエリアの造成についても「発注の準備を進めており、今 年度中に業者と契約したい」と述べ、着工数年後に予定する施設の供 用開始に向け、工事を推進する考えを示した。

--取材協力:向井安奈 Editors:Hideki Asai、Kenshiro Okimoto

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