FRB重視の債券指標でデフレ懸念後退、QE3の障害か

米景気減速をめぐる懸念にもかかわ らず、米連邦準備制度理事会(FRB)によるこれまで2回の大規模債 券購入プログラムの前よりも今の方がデフレリスクが低いことが債券市 場で示唆されている。

現在の5年後から5年間のインフレ期待を反映するブレーク・イー ブン・インフレ率(フォワードBEI)の現在の水準は、日本のような 慢性的なデフレを回避できるとのバーナンキFRB議長の説明に投資家 が納得していることを示している。これは同時に、4-6月(第2四半 期)に1年ぶりの低い伸びとなった米経済の押し上げに向け、追加の量 的緩和策(QE)に踏み切るFRBの決断を複雑にしている。2008年 と10年のQE1とQE2の実施中は商品価格は大幅上昇したからだ。

フランクリン・テンプルトン・インベストメンツの債券運用委員会 の共同委員長、マイケル・マテラッソ氏は今月24日のインタビューで、 「インフレ率上昇は消費者にとって重荷となり、景気減速を招く」と指 摘。「商品価格の急上昇という結果となれば、有害無益ではないか」と 付け加えた。

FRBが重視する市場のインフレ期待を示すフォワードBEIは先 週、2.39%で終了。FRBが米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の 購入を通じて計2兆3000億ドルの資金を米経済に注入した08年と10年の 2%を上回る水準にある。

商品相場の指標であるスタンダード・アンド・プアーズ(S& P)・GSCIトータル・リターン指数は過去2回の量的緩和策実施時 に最大85%上昇していた。

障害

FRBが1月に個人消費支出(PCE)価格指数に基づく2%のイ ンフレ目標を導入して以来、債券トレーダーの将来のインフレ見通しを 示す指標は重要な鍵となっている。PCE価格指数は食品とエネルギー を除いたベースで5月は前年同月比1.8%上昇。10年末は0.9%上昇 で、1990年代以降の平均は1.9%上昇だった。

ビアンコ・リサーチは27日付の顧客向けリポートで、FRBはイン フレ目標を無視できるかもしれないが、トレーダーの物価見通しは「追 加緩和に障害となる可能性がある」と指摘。「これらの指標は差し当た り、過度のインフレを示している」と分析した。

利回り上昇

先週の米国債相場は下落。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が ユーロを守るために必要なあらゆる措置を講ずると発言したことからユ ーロと株式相場が上昇。安全資産とされる米国債を保有する必要性が低 下したと受け止められた。ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによる と、10年物米国債利回りは9ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)上昇し1.55%。

27日に米商務省が発表した第2四半期の米国内総生産(GDP、季 節調整済み、年率)速報値は前期比1.5%増となった。1-3月(第1 四半期)の2%増(上方修正後)から減速したものの、債券相場は下落 した。8月3日には7月の米雇用統計が発表される。ブルームバーグの エコノミスト調査の予想中央値によれば、失業率は42カ月連続で8%を 超える水準となったと見込まれている。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、スコット・シ ャーマン氏は25日の電話インタビューで、「インフレ率を押し上げる必 要はない。注目されているのは経済成長を支援したいという当局の姿勢 だ」と指摘した。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)21社の1つで あるクレディ・スイスは、今月31日と8月1日の2日間の日程で行われ る連邦公開市場委員会(FOMC)がQE3を発表する確率を30%と予 想。景気減速が続けば9月13日のFOMC終了後にQE3を発表する確 率は60%に上がるとみている。

原題:Deflation Dismissed by Bond Measure as QE3 Anticipation Abounds(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE