米投資家が資金を国内還流-LTCM破綻後のドル高と共通点

18億ドル(約1410億円)相当の資産 を運用するJKミルン・アセット・マネジメント(米フロリダ州フォー トマイヤーズ)は、約4カ月前までグローバルファンドの資産の少なく とも半分を米国外に投資していた。しかし現在までに全資金を自国に還 流させ、ドル建てで保有している。

同社のジョン・ミルン最高経営責任者(CEO)は7月26日の電話 インタビューで、「これは必勝法だ」とした上で、「問題の規模からみ て、波及の可能性があると認識した」と説明した。

JKミルン以外でも多くの米投資家が同様の戦略を採用している。 ブルームバーグが集計した米財務省の最新統計によると、昨年12月から 今年5月までに489億ドルが還流。半年ベースで還流となったのは2008 年のリーマン破綻後の時期以来であり、ヘッジファンドのロング・ター ム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の事実上の破綻を受け、投 資家が世界で最も安全な資産以外を引き揚げドルが上昇した1999年以降 で最も多額の資金還流の一つとなった。

インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は、投資家が 米債券に重点を置くファンドに現金を移したことから、今年3.2%上 昇。調査会社トリムタブス・インベストメント・リサーチによると、今 年1-6月(上期)の資金流入は1570億ドルと、昨年同期の650億ドル から2倍余り増加した。これに対し、海外債券への投資は前年と同水準 だった。

年内のドル高の根拠

こうした資金の還流は、欧州債務危機が深刻化し投資家が世界の準 備通貨であるドルに殺到する中で、スイスのUBSや三菱東京UFJ銀 行など世界の大手行が年内のドル高を見込む根拠の一つとなっている。

国際通貨基金(IMF)のデータによると、世界の外貨準備におけ るドル建ての割合は62.2%と、2位のユーロ(24.9%)の2倍超で、10 年7-9月(第3四半期)以来の高水準。11年半ばには過去最低 の60.5%まで落ち込んだがその後回復した。

ユーロ建ての外貨準備の割合は06年7-9月期以来の低水準。

スペイン国債利回りが過去最高となった先週、ドル指数は2年ぶり の高水準の84.10に達した。

UBSの為替戦略担当マネジングディレクター、マンスール・モヒ ウディン氏(シンガポール在勤)は25日のインタビューで、「米国のフ ァンドマネジャーらが現在、世界見通しについて再び懸念を強めている ことは明らかであり、海外に資金を向けるのを止めているのはこのため だ」と分析した。

UBSは1ドル=85円を予想

UBSは、年末までにドルが対ユーロでは1ユーロ=1.15ドルま で、対円では1ドル=85円まで上昇すると予想している。

米国に流入する資金の多くは米国債に向かっている。5年、7 年、10年、30年物の米国債利回りは先週、過去最低水準となった。

ミルン氏は、「米国債が割安ではないことは確かだが、これは良く ない事に対するヘッジだ」と述べた。同氏は米国債と、投資適格級の米 社債、住宅ローンを選好している。

欧州債務危機が引き起こしたドル高は投資家に、同じく資金還流を 招いてドルが上昇したリーマンやLTCMの破綻を思い起こさせてい る。ドル指数は1997年初めから99年半ばまでに18%余り上昇。2008年の 底から09年のピーク時までの上昇率も27%に達した。

原題:Dollar Repatriation First Since Lehman Evokes Post-LTCM Rally(抜粋)

--取材協力:Christopher Condon、Inyoung Hwang.