日本の鉄道関連企業がアジアの高速 鉄道計画4案件の受注を将来獲得する可能性が出てきた。鉄道輸出に向 けてJR東日本主導で設立された日本コンサルタンツが、発注側の各国 政府などと交通システム計画のコンサルタント契約を結んで準備を進め ているため。

日本コンサルの田中正典社長は27日のブルームバーグ・ニュースと のインタビューで、高速鉄道計画について「インド、インドネシア、ベ トナムの3カ国4案件で実現可能性を検証、調査する作業に入ってい る」と明らかにした。

この高速鉄道4案件は、インドのハイデラバード-チェンナイ間、 チェンナイ-バンガロール-エルナクラム間の計画やインドネシアのジ ャカルタ-バンドン間、ベトナムの南北縦断計画。

田中社長は、同案件を含めて「発注者に寄り添う形で世界各国の鉄 道計画の国際的なコンサル業務を計18件契約している」と語った。ただ 同時に、これらの計画のうち、実際に計画が実行段階に移行するのは 4、5件程度との見通しを示した。

同社長は「必ずしも日本の車両や通信、信号などの分野の鉄道関係 企業がすべての高速鉄道案件を受注できるかどうかは分からない」と述 べた。ただ、「日本製品が入りやすくなることは確か」と説明し、大枠 では3カ国の案件について、日本の鉄道事業者が受注する可能性が高い とした。

また、それぞれの計画の受注額などは、どの計画でも固まってはい ないとしたが、1案件で数千億円規模になるとの見通しを示した。イン ドのチェンナイ-エルナクラム間については例外とし、現在調査中のた め想定上の数字として建設費は2兆円から3兆円規模になる可能性があ るとしている。

政府が推進する海外へのインフラ輸出では高速鉄道は最重要事業の 一つで、官民が連携して鉄道産業の競争力強化を図っている。これまで も鉄道関連は売り込みには首相はじめ閣僚がトップセールスを行ってき たほか、資金調達面では国際協力銀行の機能を積極的に活用、さらには 政府開発援助の予算拡大のほか、日本貿易保険の役割も拡充している。

日立の契約成立が機運盛り上げる

日立製作所は25日、英運輸省から約600両の車両製造や保守、リー ス事業を5500億円規模で受注したと発表。高速鉄道分野の官民共同プロ ジェクトの1号案件として長期間の交渉の末に受注契約にこぎつけた。

田中社長は、日立の受注について全体の鉄道輸出の機運を盛り上げ るものとした。日本の鉄道は高い安全性をベースに、時間の正確性や快 適性に優れており、新幹線のような大規模システムだけでなく、都市鉄 道をはじめとする在来幹線などのシステムを有しているという。

日本の鉄道事業者はこれまで、システム関連のメーカーと共同して 開発を行ってきている。同社長は今後、独シーメンス、仏アルストムな どの欧州メーカーとの競争の中で各国の経済状況や交通状況など様々な 事情に最も適するシステムを提案することが可能だとしている。

同社はJR東が53%、JR西日本と東京メトロがそれぞれ20%、そ の他をJR九州JR貨物、東急電鉄、京阪電鉄など計10社が出資。海 外鉄道プロジェクトに関する調査やコンサルティングなどを専門に行う ため、海外鉄道技術協力協会の事業を引き継ぐ形で2011年11月に設立さ れた。準備作業を経て今年の春から本格的な営業を開始している。

ベストなソリューションを提供

田中社長は、同社の設立目的について第一に、「コンサルタント会 社として、ニーズを汲み、鉄道システム、運営方式、経営形態などで最 適なソリューションを提案・提供すること」とした。第二には「日本の 技術、経験を相手国のプロジェクトの計画に生かし、これにより日本の システム、車両、製品が売れる道筋を付けること」と説明した。

同社長はまた、日本のシステム・製品の売り込み拡大には「川上側 のコンサルタント業務を、日本の技術を知った日本のコンサルが実施す ることと、世界のニーズにあった製品・システムを競争力のある価格で 提供できるようなメーカーサイドの努力と大きく二つの要素が重要」と 指摘。

その上で「あくまで二つのサイドの努力が相まって、結果として日 本製・日本の技術の採用拡大につながるということであり、決して日本 コンサルは、日本の技術の売り込みが先にありきではない」と語った。 同社は今期(13年3月期)は初年度として10億円から12億円程度の売上 高を見込む。