中国製ユニホームに愚痴るならiPadを捨てよ-ペセック

27日に開会式が行われるロンドン五 輪で全世界の注目を浴びるのが中国だ。より正確に言えば、米国の選手 団が着る中国製のユニホームだ。

米ラルフローレンが米国選手団のユニホームを中国に委託生産した ことが米議員らの反発を買ったとの報道がなされ、ロシアのソチで2014 年に開催される冬季五輪では米国製のユニホームを義務付けることが検 討されている。

これはあまりにもわざとらしい有害な論争だ。米大統領選挙の今 年、かつてのソビエト連邦に代わって米国の脅威となった世界経済の鬼 っ子、中国に八つ当たりとしているにすぎない。

11月6日の大統領選を控え、オバマ大統領は米国の失業率が8%を いまだ上回っていることの説明に頭を悩まし、共和党の指名獲得を確実 にしているロムニー前マサチューセッツ州知事は数百万人の雇用創出の ビジョンを示すよう迫られている。2人とも米国民の感情と支持を手っ 取り早く得ようとしており、中国がその標的となってもおかしくはない が、米国の雇用市場を活性化する具体策を示した方が得策ではないだろ うか。恐らく中国の助けも借りることになるだろう。

オバマ、ロムニー両陣営共に、米国の景気回復を損ねかねない世界 的な不均衡を是正するやり方を徹底的に議論すべきときに、米中両国は 非難合戦に時間を費やしている。世界のバランス再調整を促し進めるよ うなリーダーシップは米中のどこにも見られない。

カナダ

米国選手団のユニホームをめぐる騒動は、浅はかにも国民の歓心を 買うことに米国が走っていることを如実に物語っている。ロムニー氏が 組織委員会を率いた02年の米ソルトレークシティー冬季五輪と04年のア テネ夏季五輪では、トロントに本社を置くルーツ・カナダが米国選手団 のユニホームを手掛けたが問題は起きなかった。

この違いはつまり、米国がその世界一の座をカナダが脅かすと見な していないということだ。為替相場や安価な労働力、人権問題、軍事力 増強、圧政国支援、宇宙開発、米国債の大量保有という点で米国にとっ てカナダは脅威ではないが、中国は違うということだ。

米国の嘆きについて中国を非難するのはお門違いだ。米アップルを 見てみればいい。本社のあるカリフォルニア州クパチーノから車で移動 できる場所で「iPhone(アイフォーン)」と「iPad(アイパ ッド)」をつくることもできるだろうが、実際に生産されているのは中 国の深圳だ。米国の消費者は割安な製品を望み、株主は可能な限りコス トを抑えた生産をアップルに要求する。米国人は給与の高い仕事を求 め、米国の法律は中国並み賃金水準を禁じている。

中国が人民元上昇を容認すべきなのは確かだ。貿易慣行も不適切 だ。知的財産権は中国政府当局者にとってはまだどうでもいいことのよ うだ。こうしたことを覆す唯一の道は、アップルなど米国を代表する企 業が国内生産を始めることだが、米中の極めて大きな賃金格差を考慮す ればそれもなさそうだ。

バッシングより貿易協定

中国をバッシングするより、賢明な政策を立案することが米国にと ってより良い結果を生み出すことになるだろう。人民元の上昇を待つよ り、世界中で自由貿易協定を結ぶ方がずっと良い。新たな市場を開拓し たり、米国を世界一の経済大国に押し上げた起業家の情熱を復活させる ことも有益だ。

鍵となるのは、世界で最もダイナミックな企業が米国内の雇用を増 やし続けるやり方を見つけることだ。選手団のユニホームを誰が提供す るかで愚痴っていては、米国は表彰台に上ることはできない。 (ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Burn Your iPhone With Chinese Olympic Uniforms: William Pesek(抜粋)

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