大証株主の英ジュピターアセット、TOB価格低い-不参加の姿勢

英ロンドンに拠点を持ち、大阪証 券取引所株を1.2%保有するジュピター・アセット・マネジメントは、 大証に対する株式公開買い付け(TOB)価格が引き上げられない限 り、TOBに参加しないとの姿勢を明らかにした。

ジュピターアセットでジャパンインカムファンドの運用を担当す るサイモン・サマビル氏はこのほど、ブルームバーグ・ニュースの電 話取材に対し、今回の統合案件は現状では支持しないと述べた。東京 証券取引所が現在提示している48万円を上回るTOB価格を求めて いる投資家は、国が後押しする両社の統合が簡単には頓挫しないと考 えていると言う。

「われわれは現在の形での統合をサポートはしない」と、サマビ ル氏。ジュピターアセットでは、09年から大証株を保有している。同 氏は「TOB価格は妥当ではない。現在のスキームは東証が大証より も50-60%高く評価されている。ただし、すべての企業価値は大証の 方にある」と強調する。

2大証券取引所の合併は、低迷する日本の株式市場の回復や中国 などに対する競争力向上につながり、日本の政府が目指す国際金融市 場でのメーンプレーヤーとしての地位確立に向けてのカギとなる。

大証は24日、4-6月期(第1四半期)の純利益が前年同期比

1.3%減の13億3400万円だった、と発表した。東証は4-6月決算を 27日に発表する。12年3月期の純利益では、大証の54億6600万円に 対し、東証は63億1100万円だった。

応募低調ならリスクも

TOBは7月11日から8月22日まで実施され、購入予定数は大 証の発行済み株式総数27万株の過半数が下限で、66.67%が上限。下 限に達しない場合は、応募株式の全部の買い付けを行わない。9月30 日を基準日として秋に合併承認のための臨時株主総会を実施し、13年 1月に統合し「日本取引所グループ」となる予定。大証株1株に対し 新会社株1株、東証株1株には同0.2019株がそれぞれ割り当てられる。

「買い取り株数の比率がTOBの下限に近ければ、臨時株主総会 での合併承認の確証に対して一定のリスクになるかもしれない」と、 ドイツ証券の鳥居裕アナリストはみている。利益水準が変わらない大 証と東証の統合比率1対1.7に対する不満が大きい投資家にとっては、 「国策であるTOBの価格引き上げはリーズナブルなソリューション に映るだろう」と言う。

大証株を1万3680株(5.07%)保有する3位株主の英JO・ハン ブロ・キャピタル・マネージメントのシンガポール在勤ポートフォリ オマネジャー、ナジェム・リチェイル氏はブルームバーグに対し、長 期保有目的のため「大証株を近々手放すつもりはない」との見解を示 している。大証株主のうち、海外投資家が占める割合は64%。

株主構成からは「難しい判断」

森・浜田松本法律事務所で企業のM&A(合併・買収)を扱う石 綿学弁護士は、「事業会社や金融機関など、会社側と関係があって要請 が合理的なら応じてくれる株主と、経済効率性を追求する海外投資家 などの株主では、TOBの際の企業にとっての負担が違う」と指摘。 海外投資家にヘッジファンドが入っていれば、会社側に何かアプロー チしている可能性もあるとし、「今回のTOBは、現実的には難しい判 断を強いられると思う」と話している。

大証の米田道生社長は24日の定例会見で、今回のTOBでは株主 に対し株式の現金化と、株式を保有し続けて新会社の株主として統合 のメリットを享受するという2つの選択肢があるとした上で、「どちら が有利不利ということはなく、どちらを選択されるかは株主個々にご 判断いただく」と語った。

12年3月期の営業収益営業利益率は、東証の17%に対し、大証は 37%。株主資本利益率(ROE)は東証5.1%、大証10.1%だった。

TOBの応募状況やTOB価格変更の可能性などについて、東京 証券取引所グループ・吉松和彦報道課長と大阪証券取引所・矢田真博 広報チームリーダーはともにコメントを控えた。

27日の大証株は前日比0.1%安の46万1500円で取引を開始し、 一時は0.1%高の46万2500円まで買われた。20日には46万3500円 と終値では3月27日以来、約4カ月ぶりの高値を付けていた。

--取材協力:堀江政嗣、西沢加奈 Editor: 淡路毅、院去信太郎