ドラギ総裁:ECBはユーロ存続のためいかなる措置も辞さず

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は26日、欧州単一通貨ユーロを守るために必要なあらゆる措置を取る と表明。スペインとイタリアの国債利回り上昇がユーロの存続を脅かす 中で、債券市場への介入も辞さない姿勢を示唆した。

ドラギ総裁はロンドンでの会議で講演し、「これらソブリン債のプ レミアムが金融政策の効果浸透の妨げとなっている限り、高利回りの問 題はECBの責務の範囲内にある」と言明。「ECBはその責務の範囲 内で、ユーロ存続のために必要ないかなる措置をも取る用意がある」と 表明した。同中銀の行動が「十分」なことが判明するだろうとも述べ、 ECBのユーロ防衛能力を疑う向きに対して警告した。

スペインの国債利回りはギリシャとポルトガル、アイルランドが救 済に追い込まれた水準に達している。ECBがこれを押し下げるために 行動するとの観測から、金融市場ではスペインやイタリアの国債、ユー ロ、株式のトリプル高となった。ECBは昨年8月、債券市場プログラ ム(SMP)の一環としてスペイン債とイタリア債の購入を開始。もと もと積極的な買い入れではなかった上に購入の効果も長続きせず、 ECBは今年3月にプログラムを停止した。

大和証券キャピタル・マーケッツ・ヨーロッパの経済調査責任者、 クリス・シクルナ氏(ロンドン在勤)は「ドラギ総裁のコメントは確か に、ECBによるスペイン債とイタリア債購入が再び議題に上ったこと を示唆している」と述べた。「ただ、昨年の夏と同様に、ECBの債券 購入が再開されてもそれはあくまで、他の政策が実施されるまでの一時 的かつ限定的な措置だと考えている」と付け加えた。

ドラギ総裁の発言後、スペイン債の利回りは低下。10年債利回りは 一時39ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の6.91%となっ た。今週は一時7.69%に達していた。ユーロも一時1ユーロ=1.2318ド ルに上昇。総裁発言前は1.2118ドルだった。株式のストックス欧州600 指数はこの日、2.5%高で終了。

ユーロ上昇には、空売り筋の買い戻しも影響している可能性があ る。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによるとトレーダーら は先週、ユーロ売りのポジションを増やしていた。

三菱東京UFJ銀行の金融担当チーフエコノミスト、クリス・ラプ キー氏(ニューヨーク在勤)は「トンネルの出口の光がようやく見え た」として、「ECBが行動し終えた後には、ユーロを売り持ちにする トレーダーは1人もいなくなるだろう」と述べた。

一方、ECBが早急に大規模な行動を起こす可能性は低いとみるエ コノミストもいる。ウニクレディト・グローバル・リサーチのユーロ圏 担当チーフエコノミスト、マルコ・バリ氏は「ECBは政府の金がまず 使われることを望むだろう。それが奏功しなかった場合に、ECBは自 らの資金を危険にさらすだろう」と話した。

ECB政策委員会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は 今週、欧州の恒久的救済基金である欧州安定化メカニズム(ESM)に 銀行免許を与えることに賛成する議論があると発言。25日のユーロ上昇 につながっていた。銀行免許を付与されればESMはECBのリファイ ナンスオペを利用できるようになり、救済能力が高まることになる。

ドラギ総裁はかつてこの案を拒否していたが、この日は同案には触 れなかった。代わりに市場での政策効果浸透が阻害されていることに言 及しており、これは債券購入が議題として再浮上していることを強く示 唆したものだと、ABNアムロのマクロ調査責任者、ニック・コーニス 氏は分析した。

ECBは国債購入プログラムのSMPについて「常に、金融政策の 機能を改善させるためだと説明している。従って、ドラギ総裁が示唆し たツールがこれであることはほぼ間違いない」とコーニス氏は述べた。

ドラギ総裁は昨年12月1日にも、「財政協定」という目新しい概念 を持ち出し、ユーロ圏各国の首脳らがこれで合意するならECBも危機 対応の役割を拡大できると示唆し、市場の期待を膨らませた経緯があ る。

この日の講演では、市場はユーロ圏が成し遂げた進歩を過小評価し ているとし、通貨統合を逆戻りさせることはできないと言明。「赤字の 制御と構造改革の取り組みの進展には目を見張るものがある」とし、 「この歩みはもちろん持続させる必要があるが、そのペースはしっかり 定まった」と述べた。

原題: Draghi Says ECB Will Do What’s Needed to Preserve Euro: Economy(抜粋)

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