欧米中銀が新手法模索、融資促進と景気浮揚で-来週政策委

欧米の中央銀行が銀行融資の目詰ま り解消とぜい弱な世界経済の浮揚に向け、発動可能なすべての金融政策 の中から革新的手法を模索している。

8月で金融危機から5年の節目を迎える中、米連邦準備制度理事会 (FRB)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中銀)は 来週、相次いで会合を開く。大量の流動性供給と事実上のゼロ金利政策 でも世界経済を回復させることができないことから、各国中銀は新たな 戦略の検討を余儀なくされている。

シティグループの国際経済担当グローバル責任者、ネイサン・シー ツ氏は「中銀は景気浮揚に拍車を掛け、融資を必要としながら確保でき ていない隅々に行き渡るようにするため、別の手法検討で全力を挙げて いる」と指摘した。

従来の政策の大幅強化に加え、金融当局が検討する選択肢には、新 規融資の信用リスクの一部を中銀のバランスシートで引き受ける案や、 商業銀行が中銀に資金を預ける際に支払いを義務付ける案がある。

一段の緩和策が期待される中、インベステック・アセット・マネジ メントの債券責任者、ジョン・ストップフォード氏は投資家に米国債な ど従来から安全とされる国の債券購入を推奨している。同氏は「中銀の 政策が奏功していることは明らかではないが、当局は努力し続けてい る」と語った。

バーナンキFRB議長率いる米連邦公開市場委員会(FOMC)は 7月31日と8月1日の両日に会合を開く。ECBと英中銀は2日に政策 会合を予定している。前回の会合では、FOMCは「オペレーション・ ツイスト(ツイストオペ)」の延長を決め、ECBは政策金利を過去最 低の0.75%に引き下げた。英中銀は債券購入を再開した。

異例の低金利

当局はスペインを巻き込んだ欧州債務危機や米国の雇用の伸び悩み に直面し、早期に行動する必要に迫られそうだ。既に採用している手法 を継続する可能性もある。FRBは現時点では「異例の低金利」を2014 年遅くまで持続する方針だが、これを15年半ばまで延長するかもしれな いと、インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメン ト・グループの政策調査担当マネジングディレクター、ロベルト・パー リ氏は予想する。

クレディ・スイスのチーフエコノミスト、ニール・ソス氏は、 FRBが新たな債券購入プログラムを来週開始する確率は3分の1だと 指摘。9月のFOMCで量的緩和第3弾(QE3)を始める確率は3分 の2近いと付け加えた。

ECB追加利下げも

ECBではドラギ総裁が追加利下げを受け入れる姿勢をあらためて 示す可能性がある。BNPパリバのユーロ圏担当チーフ市場ストラテジ スト、ケン・ワトレット氏は、ECBが物価安定の維持と資金繰り難の 銀行支援に向けて、9月に政策金利を0.5%に引き下げるとみる。同氏 はまた、銀行に資金の生産的活用を一段と促すため、ECBが支払う翌 日物預金の金利をゼロからマイナス0.25%に引き下げるとの見方も示し た。

しかし問題は、金融危機で銀行が貸し渋っているため、低金利や大 量の資金供給、債券購入といった措置を講じても本格的な景気回復に勢 いを付けることができない点だ。財政難のユーロ圏周辺国の国債を保有 する域内銀行は、評価額の低下でさらに身動きできない状態となってい る。元FRBエコノミストのパーリ氏は「融資の経路が壊れている」と 指摘する。

バーナンキ議長は今月の議会証言で、景気回復の行き詰まりで失業 率が低下しない場合に備え、追加緩和策の選択肢を検討していることを 明らかにした。

MBS

クレディ・スイスのソス氏は、住宅ローン担保証券(MBS)の買 い取りが融資を促進する手法の1つになり得ると述べている。FRBは 最初のQEで米国債とMBSを買い取ったが、QE2では購入対象を米 国債に限定していた。ただ、30年物住宅ローンの平均金利は7月19日終 了週に既に過去最低の3.53%に達しているだけに、MBSのみ購入する ことの効果は弱いだろうとソス氏は話す。

バーナンキ議長はまた、商業銀行の超過準備に対してFRBが支払 う利息を引き下げる可能性も残している。ブラインダー元FRB副議長 が提唱しているこの措置は、短期金融市場を混乱させかねないとの懸念 などで昨年9月に見送られていた。

原題:Central Banks Search Toolbox for New Ideas as World Growth Slows(抜粋)

--取材協力:藤岡 徹、Matthew Brockett、Jennifer Ryan.