ユーロが1.21ドル半ば、債務危機や景気の先行き警戒で上昇に一服感

東京外国為替市場ではユーロ・ドル 相場が1ユーロ=1.21ドル半ば付近で推移した。欧州救済基金の能力増 強への期待を手掛かりとしたユーロの上昇が一服。債務危機や域内景気 の先行きへの警戒がくすぶる中、ユーロは弱含む場面も見られた。

午後4時10分現在のユーロ・ドル相場は1.2148ドル前後。前日には 欧州中央銀行(ECB)政策員会メンバー、オーストリア中央銀行のノ ボトニー総裁が欧州安定化メカニズム(ESM)の能力増強をめぐる議 論に言及したことをきっかけに、24日に付けた約2年ぶり安値(1.2043 ドル)付近から一時1.2171ドルまで反発したが、その後はユーロが伸び 悩み、この日の東京市場でも一時1.2127ドルまで値を切り下げる場面が 見られた。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、ドイツの 憲法裁判所がESMの合憲性について判断を下すのが9月であるため、 「ノボトニー総裁が何を言っても関係ないという雰囲気がある」と指 摘。その上で、「ショートカバー(買い戻し)が終わればユーロは売り だとみんな思っている。ショートカバーがきのう1日で終わったと考え る人もいれば、2-3日続くと思っている人もいて、その違いだけだ」 と語った。

ユーロ・円も24日に約11年ぶりのユーロ安値1ユーロ=94円12銭を 付けた後、25日には一時95円21銭まで反発。その後もみ合いとなり、こ の日の東京市場では94円71銭から95円10銭のレンジで推移した。

ESM

ノボトニー総裁は24日インタビューに応じ、ESMに銀行免許を与 えることを支える論拠があると述べた。同総裁はESMへの銀行免許付 与について、「これに賛成する意見もあるようだが、異なる意見もあ り、議論が続いていると思う」と発言。「現時点でECB内で具体的な 協議が行われているとは承知していない」と付け加えた。

三菱東京UFJ銀行シニアカレンシーエコノミストの武田紀久子氏 (ロンドン在勤)は、同発言について、「きちんとした政治合意かつ各 国ベースでの合意に至るのを確認しないと喜べるものでもない」と指 摘。相場的にはユーロはいったん下げ止まりの様相ということになって いるが、景気が悪く、ECBも一段の緩和に踏み込まざるを得なくなる 可能性が高い中、「ユーロは売り方向でほぼ確実という感触」だと語っ た。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイ ル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)で、7月17日時点のユー ロ・ドル先物取引非商業部門のユーロポジションは16万7249枚の売り越 しだった。前週10日時点の売り越し幅は16万5705枚だった。

ムーディーズは25日、ドイツの17の銀行グループと子会社数社の長 期債の格付け見通しを「ネガティブ」に変更した。ドイツのソブリン格 付けなどの見通しを「ステーブル」から「ネガティブ」に変更したこと に伴う措置。

一方、ギリシャのケディコグル政府報道官は、同国が欧州連合 (EU)と国際通貨基金(IMF)による救済の条件である財政再建計 画の実行期限を延長すれば、債務再編とみなされるとの認識を示した。 米シティグループによるとギリシャがユーロ圏を今後12-18カ月以内に 離脱する確率を約90%。従来は50-75%を予想していた。

米国景気

ドル・円相場は一時1ドル=78円05銭までドルが弱含んだが、週初 に付けた6月1日以来のドル安値77円94銭を試すには至らず。午後にか けては78円24銭まで値を戻した。

三菱東京UFJ銀の武田氏は、「基本的な相場観としては大きく方 向感は出ないという一言に尽きるのかなと思っている。ドル・円相場の トレンドを大きく変えるにはやはり金利環境にどちらかのサイドで大き な変化が出ないと難しい」と指摘した。

こうした中、米国では27日に4-6月(第2四半期)の国内総生産 (GDP)が発表される。また、26日には6月の耐久財受注や先週分の 新規失業保険申請件数の発表が予定されている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の塚田常雅グループマネージャー は、「一部でGDPショックの焼き直しを予想する向きもある」とし、 「GDPがよほど失望的なものであれば当然市場として反応するだろ う」と予想。もっとも、インフレと雇用という米連邦準備制度理事会( FRB)のデュアル・マンデートを考えると、「雇用の伸びが10万人未 満にとどまっているような状況がさらに悪化するのかどうかということ の方が次に緩和時期を占う上でより重要」だと話した。

--取材協力:Masaki Kondo、大塚美佳. Editors: 持田譲二, 山中英典

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