山口日銀副総裁:直ちに回復経路を揺るがせるものではない-円高

日本銀行の山口広秀副総裁は25日午 後、広島市内で会見し、足元で為替相場の円高が進んでいることについ て「直ちにそれがわが国経済の回復パス(経路)を揺るがせるような性 格のものではない」と述べ、日銀としては当面、情勢を見極める姿勢を 示した。

副総裁は「仮に円高が日本経済のこれからの回復のパスに大きな下 振れ要素として働いてくるという判断がわれわれとしてでき、あるい は、そのリスクがかなり高いという判断に立つとすれば、それは追加緩 和を行っていくことになる」と言明。「このあたりについては情勢をき ちんと分析し、見極めて考えていくべきことだろう。今どうこうという ことではないと認識している」と語った。

さらに、「2日発表した日銀の企業短期経済観測調査(短観)で想 定されている為替想定レートは1ドル=79円台だった。それとの対比で 円高が進んでいることは事実だが、そうしたことが実体経済にどのよう な影響を及ぼすかについては、丹念な点検が必要だ」と指摘。「私自身 としては、この為替の状況がどのような形で日本経済に影響を与えてく るのか、しっかりと点検していく必要がある」と述べた。

日銀の審議委員に24日付で就任した元モルガン・スタンレー MUFG証券チーフエコノミストの佐藤健裕氏は同日の就任会見で「期 待インフレ率を引き上げることで実質金利を引き下げる必要がある」と 言明。具体的には「資産買い入れを多様化していくことだ。外債買い入 れも一案だ」と述べた。

山口副総裁はこの発言について、一般論とした上で、「今までも白 川総裁が折に触れて言ってきたが、外国債の買い入れは、基本は、円高 是正を狙った措置という文脈の中で語られていると理解すべきではない か。私自身も常にそう思っている」と指摘。「したがって、円高是正の ためのわれわれの政策措置が、外国債の購入を通じて行われるのだとす れば、それは、私たちの業務を規定している日銀法との関係でどうなの か、という大きな問題を引き起こすような気がする」と述べた。

海外経済は大きなリスクと背中合わせ

海外経済については「一言でいえば、大きなリスクと背中合わせの 先行きの回復だ。大きなリスクが存在していることは十分認識してい る」と言明。あらためて「欧州債務問題は最大のリスクファクターと考 えている」と述べた上で、「欧州債務問題で仮にリスクが表面化すれ ば、米国経済、新興国経済、そしてもちろん、日本経済にも影響が及 ぶ」と語った。

一方、同日付の日本経済新聞は「米連邦準備制度理事会(FRB) など米金融当局は米銀の自己資本による有価証券などの売買を禁止する 新たな金融規制について、当初案で規制対象だった日本国債を除外する 方向で最終調整に入った」と報じた。

山口副総裁はこの報道について「私自身もそういう事実があったの か、本部にも確認したが、目下のところ、そういうことは確認できてい ない」と語った。