ユーロが対円11年ぶり、対ドル2年ぶり安値圏-欧州危機で

東京外国為替市場では、欧州債務危 機の深刻化を背景にユーロが対円で約11年ぶり安値付近で推移。一方、 欧州金融当局者の発言を手掛かりに、欧州市場に向けてはユーロ買いが 強まっている。

東京市場のユーロ・円相場は朝方に一時1ユーロ=94円14銭までユ ーロが弱含み、前日の海外市場で付けた2000年11月以来の安値(94円12 銭)に接近。その後は94円前半でもみ合う展開となっていた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラ テジストは、「ユーロ圏の債務問題ないしは米国や中国の景気先行き懸 念ときのうのニューヨーク市場で意識されたことをそのまま東京市場で は引きずっている」と説明。「ただ、東京市場で何か新しい材料があっ たかというと特にメジャーなものはなかったので、一言でいえば様子見 というか欧州待ちという感じだ」と話した。

一方、欧州中央銀行(ECB)政策員会メンバー、オーストリア中 央銀行のノボトニー総裁の発言を受けて、欧州時間帯にかけて、ユーロ は反発。午後4時30分現在は対円で94円66銭前後で推移している。同総 裁は、ブルームバーグとのインタビューで、ESM(欧州安定メカニズ ム)に銀行免許を付与するとの議論があると述べた。また、ECBはマ イナス預金金利について協議していないと話した。

欧州懸念

ドイツ政府はスペインに、3000億ユーロ(約28兆3000億円)の救済 パッケージを要請するよう働き掛けている。スペイン紙エコノミスタが 情報源を示さずに報じたもので、これはスペインが最大2年間、市場で 資金調達しなくて済む規模だという。同紙によると、そのうち1000億ユ ーロの最初の支払いは暫定的なユーロ圏救済基金から行われ、残りは今 年設立される恒久的基金から拠出される。スペインのデギンドス経済相 は24日にベルリンでショイブレ独財務相と会談していた。

25日朝の欧州債市場ではスペインの10年債利回りがユーロ導入来最 高の7.659%を記録し、ドイツ債との利回り格差も最大の644ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01ポイント)に拡大。同2年債利回りもユー ロ導入以来初めて7%を上回った。

村田氏は、「きのうのスペイン債の入札も短いところでしかなかっ たが、やはり利回りは上がってしまっており、徐々に徐々にスペインは 追い込まれているという状況だ。ユーロ圏当局もなかなか新しいことが できないといいつつも徐々に追い込まれていて、為替市場はユーロ売り という表現でやっている」と話した。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ドイツ の6州と一つの政府系発行体、オランダの5つの政府系発行体の長期格 付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」 に変更した。23日のドイツとオランダのソブリン格付け見通し変更に伴 う措置。ムーディーズはまた、EFSFの暫定的な格付けの見通しを 「ステーブル」から「ネガティブ」に引き下げた。

ユーロ・ドル相場は海外時間に一時、1ユーロ=1.2043ドルを付 け、10年6月以来のユーロ安値を更新。この日の東京市場では1.20ドル 半ばから後半でのもみ合いが続いたが、欧州市場にかけて1.21ドル前半 まで反発している。

欧州景気とECB

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 ドイツのIfo経済研究所が25日発表する7月の独Ifo企業景況感指 数は104.5と10年3月以来の低水準になると予想されている。マークイ ット・エコノミクスが24日発表した7月のユーロ圏総合景気指数(速報 値)は6カ月連続で縮小し、域内経済がリセッション(景気後退)入り した可能性を示唆した。

バークレイズ・キャピタルのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニ ューヨーク在勤)は、ユーロについて、スペインなどの「債券リスクプ レミアムが上昇すれば下だし、ユーロ圏の経済指標が悪化すれば緩和期 待が高まるので、それもユーロ売り」だと指摘。その上で、来週は米連 邦公開市場委員会(FOMC)とECB会合があるため、「徐々に中央 銀行がどう出てくるのかというところに焦点が移ってくる」と予想し た。

ドル・円相場

ドル・円相場は1ドル=78円前半でもみ合い。一時78円07銭まで円 買いが進んだが、その後は円が伸び悩んだ。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田氏は、リスク回避の中で円 は買われやすいが、「以前にもまして介入警戒感は強まっているし、円 債利回りは半年前と比べると低下しており、円ロング(買い持ち)のト レンドを作るような強さはない。今の水準よりさらに円を買うのには投 機筋も慎重にならざるを得ない」と語った。

日本銀行の山口広秀副総裁はこの日、広島市内での講演し、「何ら かのショックによって見通しが下振れたり、見通しをめぐるリスクが大 きく高まるような場合には、追加的な金融緩和を実施することをちゅう ちょしない」と述べた。

--取材協力:大塚美佳 Editors: 持田譲二, 山中英典