円高圧力くすぶる、欧州懸念や米金利低下で-対ドル78円台

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=78円台前半で推移した。欧州情勢の先行き不透明感が増す 中、前日の海外市場では米長期金利が過去最低水準を付けており、ドル 安・円高圧力がかかりやすい展開となった。

ドル・円相場は朝方に付けた78円41銭を円の下値に78円21銭まで円 高が進行。午後にかけては午前に形成された値幅20銭での取引が続き、 午後3時35分現在は78円28銭付近で取引されている。前日の取引では一 時77円94銭と、6月1日以来の円高値を付けていた。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「欧州情勢をみ ながら、リスク回避の円買い圧力が残る中、日本側の金利に下げ余地が ない状況下で、米10年債利回りが過去最低にまで落ち込んでおり、日米 金利差の縮小を背景にドル売り・円買いになりやすい」と指摘する。

一方、佐藤氏は、欧州関連の材料が乏しい東京市場では、全般的に 動きにくいとし、この日は中国で発表された経済指標が悪くなかったこ とが、「多少の希望になった」といい、中国株の反発や日経平均株価の 下げが限定的だったことなどから、円買いの動きが鈍かった面もあると 説明している。

前日の取引で一時1ユーロ=94円24銭と、2000年11月以来の円高値 を付けたユーロ・円相場は朝方に付けた95円02銭から、94円台後半に円 が水準を切り上げて推移した。

欧州不安深まる

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは23日、最 高格付け「Aaa」を付与しているドイツとオランダ、ルクセンブルク の格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含 み)」に変更した。欧州債務危機に関する「不確実性の高まり」を理由 に挙げている。

また、欧州最大の証券決済機関LCHクリアネットは23日、ウェブ サイト上の発表文で、一部のイタリアとスペイン国債の取引で顧客に要 求する追加証拠金率を引き上げたことを明らかにしている。

三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットトレジ ャリーチームの藤田善嗣調査役(ニューヨーク在勤)は、「スペインの 地方政府の動向は引き続き焦点になり、ギリシャに関してもまた近い将 来にユーロ圏を離脱するとかどうかというような話にもなり得る」と指 摘。株が売られて金利が低下する中で、「一言でいえばリスクオフ(回 避)」だとし、円とドルが強いと説明する。

23日の欧州債市場では、スペインで地方政府の財政問題が浮上した ことで、同国債が売られ、10年債の利回りはユーロ導入以降の最高水準 を記録。株式もストックス欧州600指数が3カ月ぶり大幅安となった。

外為オンラインの佐藤氏は、「スペインの10年債利回りが7.5%を 超えるというのはどう考えても資金調達面では厳しい」と指摘。今後は 地方財政や銀行の問題などいろいろなことが重なっている状況下で、救 済の話が出てくると思うが、セーフティネット(安全網)もはっきりし ない中で、ユーロの戻りは売られるという展開が予想されやすいとみ る。

日米金利差が縮小

米国市場でも株安・債券高となり、10年債の利回りは一時1.4%を 割り込んで過去最低水準に落ち込んだ。ニューヨーク連銀は長期借り入 れコストの抑制をめざし、残存期間が長めの国債を購入し期間が短い国 債を同額売却するオペレーション・ツイスト(ツイストオペ)の一環と して23日、18年7月から19年6月に償還を迎える米国債47億7900万ドル 相当を購入した。

藤田氏は、ドル・円相場は米金利との相関が高いとし、米国ではあ す入札を控えているほか、ツイストオペなど、「今週から月末にかけて はどちらかというと買いオペレーションの方が多い」といい、10年債の 利回りがまた過去最低を更新する局面がくれば、「77円台にドル安・円 高が進むことがあってもおかしくない」とみている。

--取材協力:Monami Yui. Editors: 持田譲二, 山中英典