最優秀投信「ひふみ」藤野氏、TOPIX投資は危険-中小型に好機

大型株の影響を受けやすいTOP IXへの投資は危険で、中小型株に収益獲得のチャンスが大きい――。 独立系運用会社のレオス・キャピタルワークスのCIO(最高投資責 任者)で、先に評価機関から最優秀ファンドの称号を得た「ひふみ投 信」を運用する藤野英人氏は、日本株相場の現状をこう捉えている。

藤野氏は、このほど行われたブルームバーグとのインタビューで、 利益伸長の有無で株価が決まるシンプルな原理に基づけば、運用の基 本は「成長余地のある銘柄が多い中小型株」と述べた。TOPIXの 時価総額上位銘柄は成長力に乏しく、大企業には「親方日の丸に近い 公務員的な会社、持ち合いが強くガバナンスが効いていない会社、社 内事情を重視する会社が多い」ため、投資妙味に欠けると言う。

藤野氏が運用を統括する追加型の日本株投資信託「ひふみ投信」 は、23日時点の基準価格が1万2860円。2008年10月の設定以来の騰 落率はプラス29%と、同期間にマイナス35%だったTOPIXを大き くアウトパフォームしている。

株価は、短期的には需給で動くことも多いが、長期では収益力で 決まり、収益が上がらない時価総額上位銘柄に投資するのは危険だと 同氏。その上で、中小型株投資では「なるべくオーナー系、オーナー のように意思決定できる強いリーダーがいる会社」を選ぶ。オーナー 系の経営者は近視眼的にならず、5、10年後に生き残ることを必死に 考えており、国内外での競争を勝ち抜くそうした銘柄群に投資すれば、 「結果的にTOPIXとは全然違う成績が出る」と強調した。

GARP、バリュートラップ

藤野氏によると、ひふみ投信の運用手法はGARPに近い。GA RP(グロース・アット・リーズナブル・プライス)は、企業の成長 性に比べ株価が割安な銘柄に投資する戦略で、結果的に中小型株が多 くなりやすいという。営業増益率が10%から20%の銘柄を組み入れ候 補の中心に据え、割安に見えるが、株価が値上がりしない状況を指す 「バリュートラップ」を避ける工夫も施す。

わなに陥らないよう、株価のカタリスト(触媒)が出た直後ぐら いの会社に投資、「四半期業績の増益率が高まっているとか、株価が上 昇トレンドに変化しつつあるところを捉える」としている。

藤野氏は中小型株市場について、リーマン・ショック後の3年間 で参加者が減り、結果として「マーケットの調査の段階で非効率が起 きやすくなった」と見ている。また、アルゴリズムなど世界的に取引 のシステム化が進み、業績情報を瞬時に吸い上げアービトラージ(裁 定取引)的な動きをする機関投資家が増え、「決算情報があったときの ミスプライスを取りに行く動きが活発化している」とも言う。

こうした現象は、個別の企業調査に基づくボトムアップ運用を行 うファンドには有利で、業績上方修正の可能性が高い会社を事前に発 掘すれば、実際の上方修正時の株価上昇がかなり正確に起き、「自分達 にとってはラッキー」と同氏は話している。

大型株こそギャンブル

2000年以降の東証1部の規模別指数の推移を見ると、23日時点で 小型株指数のプラス3.2%に対し、中型株指数はマイナス28%、大型 株指数はマイナス62%、コア30指数はマイナス77%と、規模が小さ くなるほどパフォーマンスは良好だ。

藤野氏は、世間一般には小型株がギャンブルで、大型株は安定投 資と思われているが、「世界のマーケットのトレンドで大きく振れやす い大型株がギャンブル」と言う。ひふみ投信は、金融緩和などを通じ 資金流動性が向上、相場トレンドが上向くときは大型株のポートフォ リオを組み、上昇相場への受け皿を作る。一方、流動性相場が一段落 した場合、大型株の比率を下げることでキャッシュ比率が上昇、残っ た小型株で相場下落のダメージが抑えられている。

実際、世界的な金融緩和による過剰流動性相場で上昇した1-3 月の局面では、小型株中心のポートフォリオだと厳しかったが、昨年 12月後半からことし2月にかけて大型株の比率を上げ、「上昇相場に ついていけた」と同氏は振り返る。

ファンド大賞2012

2月末時点のひふみ投信の組み入れ1、2位は大型株の日本電産、 三菱商事、日産自動車も上位で、現金比率は6.8%だった。その後3 月に金融緩和効果が一巡、大型株を売却し現金比率を上げた。大型株 と現金の出し入れが「ボラティリティを下げ、シャープレシオ(リス ク調整済みリターン)を上げるのに非常に役立っている」と藤野氏。 5月末に現金比率が27%に上昇、6月末の同比率は15%となっている。

ひふみ投信は、証券会社など販売会社を介さない運用会社の直販 ファンドで、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&Iフ ァンド大賞2012」の最優秀ファンド賞を4月に受賞した。純資産総額 は23日時点で22億8600万円。6月末時点の組み入れ銘柄数は58で、 上位銘柄はパーク24、デジタルガレージ、サイバーエージェント、 三菱UFJフィナンシャル・グループなど。

藤野氏は、野村アセットマネジメントやJPモルガン・アセット・ マネジメント、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを 経て、03年にレオスを創業した。レオスの運用資産総額は6月末で約 200億円。同社が手掛けるファンドにはひふみ投信、ひふみプラス、 レオス・アジアセレクト株式ファンドがある。

24日の東京株式相場は、欧州問題の不透明感から3営業日続落。 TOPIXは前日比0.4%安の717.67と6月5日以来、約1カ月半ぶ りの安値で引けたが、東証1部の中型株指数は0.2%安、小型株指数 は0.3%安と相対的に底堅さを見せた。

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