米国債:続伸、利回り過去最低を更新-欧州危機を警戒

米国債相場は続伸。5、10、30年債 の利回りは過去最低を付けた。ギリシャが救済条件を満たせなければ欧 州債務危機が一段と深刻化するとの懸念が広がり、比較的安全とされる 資産を求める動きが強まった。

10年債利回りは6月1日に付けたこれまでの過去最低水準を下回っ た。ギリシャは欧州連合(EU)欧州委員会と欧州中央銀行 (ECB)、国際通貨基金(IMF)の通称トロイカの代表団との会議 を24日に控えている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、「Aaa」の格付け を有するドイツとオランダ、ルクセンブルクの格付け見通しを「ネガテ ィブ」に変更した。これを受けて10年債価格は一段と上昇した。今週発 表予定の米国内総生産(GDP)速報値は成長鈍化を示唆することが予 想されており、米国債は前週末からの上昇の流れに拍車がかかってい た。ニューヨーク連銀は23日、47億7900万ドル相当の米国債を購入し た。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス 氏(ニューヨーク在勤)は「世界中で資金が逃避に向かっており、米国 債に流れ込んだ」と指摘。「最も抵抗の少ない行動は利回りの押し下げ だ。すべては欧州が震源となっている」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)低下して1.43%。同年債(表面利率1.75%、2022年5月 償還)価格は9/32上げて102 30/32だった。利回りは一時、1.3960%ま で下げる場面も見られた。5年債は0.5411に低下、30年債も2.4752%ま で低下する場面があった。

ブルームバーグのデータによると、10年債の過去10年間の平均利回 りは3.76%となっている。

ボラティリティ低水準

インターディーラー・ブローカー最大手ICAPによると、この日 の売買高は2040億ドルと、年初来平均の2410億ドルを下回った。

ボラティリティ(変動性)の指標とされるメリル・オプション・ボ ラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は61.6bpと前営業日 比ほぼ変わらずで、5月10日以来の低水準付近で推移した。5月7日に は56.7bpと5年ぶり低水準を付けた。年初来の平均は75.6bp。年初 来の最高は6月15日の95.4bpとなっている。

ニューヨーク連銀は長期借り入れコストの抑制をめざし、残存期間 が長めの国債を購入し期間が短い国債を同額売却するオペレーション・ ツイスト(ツイストオペ)の一環としてこの日、2018年7月から19年6 月に償還を迎える米国債47億7900万ドル相当を購入した。

「買わざるを得ず」

シティグループの国際経済担当チーフエコノミスト、ネイサン・シ ーツ氏は、連邦準備制度による過度の米国債は、民間投資家の購入可能 分を圧縮し、その結果流動性が低下する可能性があると指摘した。シー ツ氏は昨年8月までFRBの国際金融局長を務めていた。同氏は電話イ ンタビューで、「過度の米国債購入は市場に深刻な長期的影響を及ぼす 恐れがある」と指摘した。

連邦公開市場委員会(FOMC)は7月31日と8月1日に会合を開 く予定。先月の会合では量的緩和第3弾(QE3)には踏み切らなかっ たものの、バーナンキ議長は先週2日間にわたり出席した議会証言で QE3が選択肢の一つであると示唆した。政策金利は2008年12月以降、 ゼロから0.25%のレンジにある。

FRBのエコノミストが開発した金融モデルに基づくタームプレミ アム(期間に伴う上乗せ利回り)はマイナス1.01%と、これまでで最も 割高な水準にある。マイナスのタームプレミアムは、適正水準を下回る 利回りでも投資家が積極的に受け入れていることを意味する。

キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・エド モンズ氏(ニューヨーク在勤)は「市場関係者は誰も利回りが魅力的だ とは考えていない」とし、「むしろ、買わざるを得ずに行っている取引 にすぎない」と述べた。

スペイン紙パイスによると、カタルーニャ州やカスティーリャ・ラ マンチャ州など6州が、20日に救済申請の準備を表明したバレンシア州 に続いて中央政府に支援を求める可能性がある。このほか、ギリシャが 救済条件を満たせないとの観測が高まったことも、ドイツ国債相場を押 し上げた。BOAメリルリンチ指数によるとドイツ債は今月2.6%のリ ターンを上げた。

原題:Treasury Yields Slide to Records as Europe Spurs Bid for Safety(抜粋)

--取材協力:Anchalee Worrachate.