ルイ・ヴィトンのバッグ、香港映画を打ち負かす-モール集客

香港在住の映画プロデューサー、ビ ル・コン氏が手掛けた映画の登場人物は超人的な技で敵を打ち負かすこ とで知られる。ミシェル・ヨーが重力を物ともしないアクションを披露 する映画「グリーン・デスティニー」やジェット・リーのアクロバット が目を引く「英雄-HERO-」を思い浮かべるといいだろう。

現実の生活で、コン氏はもっと手ごわい相手との戦いで敗北しつつ ある。その敵とは、高級ハンドバッグだ。

コン氏はインタビューで「高級品小売業界が映画業界の息の根を止 めつつある。映画館はルイ・ヴィトンのバッグ専門店に取って代わられ そうだ」と語る。

エドコ・フィルムズのエグゼクティブディレクターを務めるコン氏 によると、香港の地主たちがショッピングモールに客を呼び寄せる手段 として映画館を利用していた時代は過ぎ去った。「地主たちは今では 『もう出て行ってくれ。われわれはルイ・ヴィトンの店に来てほしい』 と言う」と同氏は嘆く。

地主たちがそう言うのも無理はない。ルイ・ヴィトンのバッグは香 港で2万香港ドル(約20万円)を超える価格で販売されており、ショッ ピングモールのオーナーたちは賃借料に加えて売り上げの一部を配分さ れ懐に入れることができる。

コン氏は「ルイ・ヴィトンのバッグ1つで収容人員150-200人の映 画館が満員になった場合と同じ売り上げがある」と指摘する。香港の映 画館の約90%がショッピングモールの中にある。

ここ数年、中国本土の買い物客が香港に多数押し寄せており、プラ ダやグッチ、クリスチャン・ディオールなど高級ブランド品の販売店の 外には長蛇の列ができている。

一方、香港映画産業協会によると、映画館数は47館と、1997年時点 の77館から減少している。エドコの映画部門、ブロードウェー・サーキ ットが14館を保有し香港最大の映画館チェーンとなっている。

中国本土の映画ブーム

コン氏によると、中国本土では映画館建設ブームが収拾のつかない 状況になりつつある。同氏の企業は1983年にチャイナ・フィルム・グル ープとの共同事業で最初の映画館を深センで開業した。

「深センや武漢など一部の地域ではかなり建築数が過剰になってい る。深センでは全ての地下鉄駅に1カ所か2カ所、複合型映画館があ る」とコン氏は話す。ブロードウェーは現在、中国で映画館19館を保有 しスクリーン数は118。年内に第3の都市でさらに2館をオープンする 見込みだ。

DMGエンターテインメント(北京)のダン・ミンツ最高経営責任 者(CEO)によると、中国の映画館建設ブームでスクリーン数は2010 年末時点の6200から15年までに2倍以上に増加する見通しだ。全米劇場 主協会によれば、米国の09年時点のスクリーン数は3万9233で、04年の 3万6435から増加した。

コン氏は13歳の時、英国での進学のため香港を離れ、その後、土木 工学を学ぶためカナダのブリティッシュコロンビア大学に入学した。 「海外を転々としてしばらく過ごし」、ビートルズやマリフアナに象徴 される文化の洗礼を受けた。27歳で香港に戻り、父親が1959年に始めた 映画館運営と映画配給の事業に足を踏み入れた。90年代後半には不動産 価格高騰で事業は既に困難な状況に陥っていた。

「独立系映画配給会社を継続することは90年代にはかなり難しくな っていたし、映画事業は以前よりコストがかさむようになっていた」と 振り返った。

原題:Louis Vuitton Bags Beat Jet Li’s Movie Stars in Hong Kong Malls(抜粋)